2002 Fiscal Year Annual Research Report
慢性低酸素環境における呼吸及び循環系調節機構の統合的研究(特に遺伝子改変小動物での解析)
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13670053
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
白井 幹康 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (70162758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西浦 直亀 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室員 (70132933)
下内 章人 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室員 (80211291)
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Keywords | プロスタサイクリン欠損マウス / 低酸素 / 化学受容器反射 / 神経型一酸化窒素合成酵素 / α_2アドレナリン受容体 / 心拍応答 / 換気応答 / テレメトリー計測 |
Research Abstract |
本年度は13年度に開発した覚醒下マウスの循環・呼吸・代謝機能の統合解析システムを、プロスタサイクリン(PGI_2)欠損マウス(PGID)に応用し、この物質の循環・呼吸調節上の役割を、室内気及び急性低酸素環境で調べた。 1)室内気環境では、正常(WT)とPGDIマウス間で、循環・呼吸・代謝の平均レベル及び日内変動リズムに有意差はなかった。2)そこで、低酸素(10%O_2)に対する化学受容器を介した急性神経反射性応答でのPGI_2の役割を調べた。(この応答の中枢である延髄にはPGI_2が多く分布するが、その役割は不明であり、特に、この応答に重要とされている延髄の神経NOSあるいはα_2-adrenoreceptorとの相互作用に興味が持たれた。)3)低酸素に対する心拍と換気の増大応答は、選択的nNOS阻害薬(7-nitroindazole)で強く抑制された。抑制の程度は、WTとPGDI間でほぼ同じであった。4)他方、α_2-aderenoreceptor拮抗薬(idazoxan)は、WTの心拍応答のみを有意に増強させた。PGDIの心拍並びにWTとPGDIの換気応答には無効であった。 以上の結果から、1)PGI_2は、生理的条件下より、低酸素環境のようなストレス下での循環調節に重要であること、2)心拍と呼吸の低酸素性応答において、nNOS由来NOは、PGI_2の有無とは無関係に、増強的に作用すること、3)α_2-receptorは、心拍の低酸素性増大応答に対し抑制的に作用し、その作用にはPGI_2が不可欠であること、つまり、PGI_2はα_2-receptorと協調して、低酸素時の心拍増大応答が過剰にならないよう、ブレーキ的な役割を果たすことが示唆された。 今後、本統合解析システムを種々の遺伝子改変マウスに応用すれば、個体レベルでの遺伝子・タンパクの機能解析が飛躍的に進むものと期待された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Pearson, J.T.: "Future investigations of micro-macro level cardiac functions using X-ray diffraction"BME. 16. 29-35 (2002)
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[Publications] Matsukawa, K.: "Sympathetic cholinergic vasodilatation of skeletal muscle small arteries"Jpn.J.Pharmacol.. 88. 14-18 (2002)
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[Publications] 永谷憲歳: "肺微小循環-肺高血圧症の病態と最新の治療法"医学のあゆみ. 201. 757-762 (2002)
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[Publications] Shirai, M.: "Changes in functional and histological distributions of nitric oxide synthase caused by chronic hypoxia in rat small pulmonary arteries"Br.J.Pharmacol.. (in press). (2003)
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[Publications] Nagaya, N.: "Repeated inhalation of adrenomedullin ameliorates pulmonary hypertension and survival in monocrotaline rats"Am.J.Physiol.. (in press). (2003)