2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境変化に起因する精神性ストレス反応に及ぼすエストロゲンの影響
Project/Area Number |
13670064
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30220081)
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Keywords | 精神性ストレス / エストロゲン / 血圧 / Corticotrophin releasing hormone(CRH) / 脳室内投与 / α-helical CRH / テレメトリーシステム / 心拍数 |
Research Abstract |
本年度は、エストロゲンが雌ラットにおいてケージ交換ストレス時の循環反応を抑制するメカニズムを解明するため、ストレス反応において中心的役割を果たすCorticotrophin releasing hormone(CRH)に及ぼすエストロゲン補充の影響について検討した。 実験ではウィスター系成熟雌ラットを用い、正常メス(NF)群、卵巣摘出+Placebo(P)群、卵巣摘出+17β-Estradiol補充(E)群の3群に分けた。P群とE群は両側卵巣摘出4週間後にPlacebo及び17β-Estradiol含有ペレットを頚部皮下に埋め込み、5週間の補充期を経て実験に供した。各群ラットには、実験3週間前にテレメータシステムによる血圧測定用の送信器を埋め込み、さらに1週間前に右側脳室内に薬物投与用のカニューレを慢性留置した。 CRH10μg(2μl)の脳室投与は、各群ラットにおいて、血圧・心拍数の増加反応を引き起こした。この血圧増加反応はNF群に比べP群でやや増強し、E群ではP群より抑制される傾向を示したが、3群間に有意差はなかった。また、心拍数の増加反応は逆にNF群に比べP群では有意に抑制された。一方、60分間のケージ交換ストレス負荷による血圧・心拍数増加反応はNF群とE群ではCRH受容体拮抗薬であるα-helical CRH10μgの前投与による影響を受けなかったが、P群では前投与後に血圧・心拍数増加反応が有意に増強した。 以上の結果より、エストロゲンはCRHによる血圧・心拍数の増加反応に影響を与える可能性が示唆されたが、今回使用した投与量では循環反応自体が軽度であったため、さらに投与量を変えて検討する予定である。また、α-helical CRHの前投与はケージ交換ストレス時の循環反応を抑制せず、逆にP群では増強したため、今後は選択的CRH受容体拮抗薬により検討を重ねる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Keiko Morimoto, Yoko Kurahashi, Nobusuke Tan: "Chronic estrogen replacement suppresses stress-induced cardiovascular responses in female rats"Circulation (Suppl). Vol 106, No 19. II-295 (2002)