2001 Fiscal Year Annual Research Report
排卵調節におけるエストロゲン受容体βの生理機能に関する研究
Project/Area Number |
13670071
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐藤 千登世 (折笠 千登世) 日本医科大学, 医学部, 助手 (20270671)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 康夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (70094307)
|
Keywords | 性差 / エストロゲン受容体β / 視索前野脳室周囲核 / 免疫組織化学 / in situ hybridization 組織化学 / LHサージ / 排卵調節 |
Research Abstract |
本研究では実験形態学的手法を用いてERβの排卵調節における生理学的役割を明らかにする。 視索前野脳質周囲核(AVPV)において見いだしたERβの発現及び分布の機能的な解析を、雌性化及び雄性化の2つの動物モデルを用いin situ hybridization組織化学により行なった。その結果、ERβ mRNA発現ニューロンの分布が著しい性差を示すこと、この性差が新生仔期のステロイドホルモンの影響で成立することを見出した。ERβタンパクに対する免疫組織化学により、タンパクの発現にも同様の性差を確認した。ERβmRNAとERαタンパクの同一切片上での可視化により、ERβmRNA陽性細胞の84%にERαタンパクの共存を認めた。さらに雌ではERβmRNA陽性細胞がドーパミン作動性細胞と一致して分布することを認め、ERβmRNA陽性細胞の18%がチロシン水酸素化酵素免疫陽性タンパクとの共存を認めた。次に、生体内でのERβの生理機能的な解析を行った。性的に成熟した8-9週令雌を用い、ERβのアンチセンスオリゴヌクレオチドを脳に投与し膣垢周期を調査した。ERβのアンチセンスオリゴヌクレオチドを脳に局所的に投与することによって、膣垢周期で連続発情の成立を認め、発情期が対照群と比べ有意に増加していた。この時ERβ免疫陽性細胞数は、スクランブルオリゴヌクレオチド投与群に比して50%減少していた。以上の結果から、ERβが排卵時の性腺刺激ホルモンの分泌調節に関与していることが示唆された。これらの結果を論文にまとめ米国アカデミー紀要に投稿した。論文は受理され電子ジャーナルに掲載された。 さらに平成14年度は、AVPVにおいて共存のみられたERβとERαの両受容体の排卵調節における相互作用について検討していきたい。具体的には、ERαアンチセンスオリゴヌクレオチドをERβと同様脳に局所的に投与して、膣垢周期を調査し排卵時の性腺刺激ホルモンの分泌調節における関与の有無を検討する。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Oriksa, C., Kondo, Y., Hayashi, S., McEwen, B.S., Sakuma, Y.: "Sexually dimorphic expression of estrogen receptor β in the anteroventral periventricular nucleus of the rat preoptic area : Implication in lutenizing hormone surge"Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America. (On line)(before print). (2002)
-
[Publications] Ishihara, T., Orikasa, C., Araki, T., Sakuma, Y.: "Sex difference in the expression and regulation of nitric oxide synthase gene in the rat preoptic area"Neuroscience Research. (In press). (2002)
-
[Publications] 折笠千登世, 佐久間康夫: "視床下部エストロゲン受容体と生殖機能"中外医学社. 3 (2001)