2002 Fiscal Year Annual Research Report
キトサンおよびゲニステイン投与が引き起こすCa・骨代謝変化の分子生物学的検討
Project/Area Number |
13670072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
太田 冨貴雄 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20092041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 泰雄 早稲田大学, 人間科学部, 助手 (30350440)
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Keywords | ゲニステイン / キトサン / 投与開始時期 / 血中1,25(OH)_2 / 小腸Ca結合タンパク質mRNA / 小腸ビタミンD受容体mRNA / P腸管吸収阻害 / 卵巣摘出ラット |
Research Abstract |
今年度も保健機能成分として承認されている大豆ゲニステインと甲殻キチン質から調製されるキトサンの骨代謝に及ぼす作用について、骨吸収が冗進する閉経後女性のモデルになる卵巣摘出ラットを用いて検討した。ゲニステインについては卵巣摘出に伴う長管骨の減少を有意に抑制するが脊椎骨には効果が現れなかったとする前年度の成績をうけて、卵巣摘出後の投与開始時期が骨量減少抑制効果の発現に影響する可能性を調べた。その結果、骨代謝回転が旺盛な卵巣摘出直後からのゲニステイン投与は椎骨の密度低下を有意に抑制するが大腿骨への効果は小さく、安定期にかかる5週目からの投与は反対に椎骨よりも大腿骨の骨量減少を強く抑えることが認められ、ゲニステインの骨量減少抑制は閉経後の投与開始時期により効果の現れる骨部位を異にすることが示唆された。キトサンについては、その投与による骨量低下が出納試験の成績からCaの腸管吸収阻害によるのではなく、体内Caの尿中排泄を増大させることが原因と考えられたので、Caの体内動態を調べる目的で血中Ca調節ホルモン及び小腸のビタミンD(V.D)受容体及びCa結合タンパク質の測定を試みた。その結果、キトサン投与は血中活性型V.D濃度の3倍を超す増加と小腸のV.D受容体及びCa結合タンパク質の合成冗進を引き起こすことが示された。一方、リン(P)の出納を調べたところキトサンによりPの腸管吸収が著しく阻害されることが確認され、また低P食で飼育したラットの尿中Ca排泄が増加することから、キトサン投与は体内可溶性P濃度を低下させ、結果的に活性型V.Dを高めて骨吸収の冗進を引き起こし、Pに比べて相対的に過剰になる可溶性Caの尿中排泄が増大して体液Caの不足を招き、骨吸収が更に刺激されて骨量の減少を来たすとの仮説を導いた。なお、キトサンによる骨量低下は高Ca食ないしはビタミンCの補足で防止できることも明らかにした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Chu-Ya Yang, et al.: "Effects of Habitual Chitosan Intake on Bone Mass, Bone Related Metabolic Markers and Duodenum CaBP D9K mRNA in Ovariectomized SHRSP Rats"J. Nutritional Science and Vitaminology. 48(5). 371-378 (2002)