2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの体位変換時の血圧調節反応に及ぼす加齢の影響に関する研究
Project/Area Number |
13670075
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
筒井 由香 産業医科大学, 医学部, 助手 (60236916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 文夫 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (80269050)
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Keywords | ヒト / 血圧調節 / 加齢 / 血管伸展性 / 動脈圧反射 / 立位刺激 / 脳血流 |
Research Abstract |
本研究では、立位を模した中心血液量減少時に、加齢で低下した動脈圧反射機能が高齢者でどのように反応するか調べ、さらに加齢に伴う動脈圧反射感受性の低下と頚動脈の伸展性の低下との関連を調べた。 今年度の研究の目的は、加齢に伴う動脈圧反射感受性の低下と頚動脈の伸展性の低下との関連を調べることであり、当初中心血液量減少時の圧反射応答により検討する予定であったが、昇圧刺激時をも網羅するために、昇圧および降圧剤を急速静脈内投与したときの圧反射調節と頚動脈の伸展性とを評価し両者の関連を検討した。健康な60歳以上の高齢者と20歳前後の若年者を対象に、超音波エコーで頚動脈中内膜肥厚を評価した。圧反射機能評価のための血圧は、頚動脈から得た圧波形から推定して用いた。今年度の結果は次の通りである。 1)頚動脈の中内膜肥厚は高齢者のほうが有意に厚かった(高齢者0.69±0.02、若年者0.35±0.02mm、p<0.05)。 2)頚動脈圧と心周期に伴う径の変化から算出した頚動脈コンプライアンスは高齢者のほうが有意に低かった(高齢者0.06±0.01mm^2・mm Hg^<-1>、若年者0.14±0.01mm^2・mm Hg^<-1>、p<0.05)。 3)昇圧剤および降圧剤静脈内投与時の動脈圧(mmHg)の変化に対するRR間隔(ms)変化(心拍の圧反射調節)は、若年者昇圧時15.0±2.3ms・mm Hg^<-1>、降圧時7.2±0.8 ms・mm Hg^<-1>に対して高齢者は昇圧時3.7±0.4 ms・mmHg^<-1>、降圧時3.2±0.4ms・mmHg^<-1>であり、いずれも高齢者の方が有意に減弱していた。 4)1)の中内膜肥厚や2)の頚動脈コンプライアンスと3)の心拍の圧反射調節との間には正の相関関係歩認められた(p<0.05)。 以上の結果から高齢者の心拍の圧反射応答が低下する原因として、高齢者では頚動脈壁の伸展性が低下していることが、頚動脈における収縮期血圧変化の心臓血管運動中枢への入力を減退させる為に起きるという可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yuka Tsutsui, et al.: "Cardiovascular responses to lower body negative pressure in the elderly : role of reduced leg compliance"Gerontology. 48. 133-139 (2002)
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[Publications] Katsuya Yamauchi, et al.: "Sympathetic nervous and hemodynamic responses to lower body negative pressure in hyperbaria in men"Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 282. R38-R45 (2002)
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[Publications] Fumio Yamazaki, et al.: "Whole body heating reduces the baroreflex response of sympathetic nerve activity during Valsalva straining"Autonomic Neuroscience ; Basic and Clinical. 103. 93-99 (2003)