2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質の開口放出の可視化による抗うつ薬の奏効機転の解明
Project/Area Number |
13670097
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
百瀬 和享 昭和大学, 薬学部, 教授 (80004597)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 光彦 昭和大学, 医学部, 講師 (60240040)
大幡 久之 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00119166)
|
Keywords | Differential Display / microarray / ラット / 脳 / 遺伝子 / 分子生物学 / 抗うつ薬 |
Research Abstract |
これまで我々は、様々な仮説にとらわれることなく抗うつ薬の奏効機転に関与する機能分子を未知タンパク質も含めてスクリーニングするため、Differ ential display (DD)法によりラット脳内で発現量が特異的に変化する遺伝子を探索し200種同定してきた(antidepressant related gene : ADRG1-200)。さらに、我々が自主開発に成功した抗うつ薬関連候補遺伝子をスポットしたマイクロアレイ(ADRG microarray)を用いて、発現の変化の再確認・定量を行ったところ、ADRG遺伝子の一部は、脳内プレシナプスにおける神経伝達物質の開口放出に関与する既知の遺伝子群に属することが明らかとなり、うつ病治癒過程に密接に関わる可能性が考えられた。そこで本年度は、DD法で得られた神経伝達物質の開口放出に関連するタンパク質であるADRG#14及び#55について、抗うつ薬投与における発現の変化をmRNAレベル、タンパクレベルで検討した。その結果、ADRG#14は、抗うつ薬単回投与では発現変化が認められなかったが、長期投与により発現が増加することが明らかとなった。また、特に難知性うつ病の治療に用いられている電気けいれん(ECT)負荷でも発現が増加することが明らかとなり、うつ病の治癒機転に重要な遺伝子であると考えられた。ADRG#55は、抗うつ薬及び躁病治療薬の炭酸リチウムの長期投与により発現増加が確認され、広く感情障害の治癒に重要である可能性が示唆された。今後、これまでに同定したADRG#1-200に加え、現在引き続きDD法により探索・同定している抗うつ薬関連候補遺伝子、既知の神経伝達物質開口放出関連タンパク質及び神経可塑性の変化に関与する遺伝子も含めたADRGmicroarrayを作製し、うつ病治療法またはストレス負荷動物サンプルを解析していく計画である。
|
Research Products
(1 results)