2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質の開口放出の可視化による抗うつ薬の奏効機転の解明
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13670097
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
百瀬 和享 昭和大学, 薬学部, 教授 (80004597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 光彦 昭和大学, 医学部, 講師 (60240040)
大幡 久之 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00119166)
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Keywords | differential cloning / microarray / ラット / 脳 / うつ病 / 神経可塑性 / 抗うつ薬 / 開口放出 |
Research Abstract |
我々はDifferential Display法を用いて、抗うつ薬長期投与によりラット脳内で発現の変化する遺伝子を網羅的に探索する作業を継続して行い、707個の候補遺伝子(antidepressant related gene : ADRG#1〜707)を同定し、これらをスポットしたADRG microarrayを開発した。このADRG microarrayを用いて2次スクリーニングを行い、既知遺伝子と相同性が高いものについて機能別クラスタリングを行った結果、VAMP2 (ADRG#14)、cysteine string Protein (ADRG#55)、Rab3 (ADRG#280)、synapsin I (ADRG#279)、synaptotagmin (ADRG#563)等、プレシナプスの小胞上に存在するタンパクが多数得られた。プレシナプスの小胞上に存在するタンパクは、神経伝達物質の開口放出とともに、神経突起の伸長・退縮に関与するという報告がある。そこで、ADRG#14 (VAMP2)をモデルとして内在性ADRG#14タンパクの機能を抑制した神経様細胞(NGFで分化させたPC12細胞)における開口放出能を測定し、続いて神経突起を可視化、突起長及び数を計測する系を構築した。抗ADRG#14抗体を導入したPC12細胞を高Kにより刺激した結果、対照群に比べ有意な抑制が認められた。このことより、内在性ADRG#14タンパクの機能の抑制が確認された。次に、共焦点レーザー顕微鏡下、対照および抗ADRG#14抗体トランスフェクタントを可視化し比較したところ、トランスフェクタントでは神経突起の長さは退縮し、神経突起数も減少していることが認められた。これを数値化するために、各群、120〜150の細胞について神経突起長および数を計測した結果、トランスフェクタントにおいて有意な神経突起の退縮及び神経突起数の減少が確認された。今後は得られた他のADRGについてもこうした機能を有するかを検討するため、本研究で確立したアッセイ系に挿入していく計画である。 以上のことより、神経伝達物質の開口放出、神経突起の伸長・退縮等の神経可塑性の変化がうつ病の治癒機転において共通する分子メカニズムの1つと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nishioka et al.: "Induction of kf-1 after repeated electroconvulsive treatment and chronic antidepressant treatment in rat frontal cortex and hippocampus"J.Neural.Trans.. 110. 277-285 (2003)
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[Publications] Yamada et al.: "Antidepressant research in the era of functional genomics - Farewell to the monoamine hypothesis -"Biogenic Amines. in press. (2004)