2002 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋細胞脱分化の分子機構と細胞内シグナリングの解析
Project/Area Number |
13670120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90238105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20112047)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 脱分化 / 不砲和リゾフォスファチンジン酸 / シグナル伝達 / ERK / p38MAPK / 動脈硬化症 |
Research Abstract |
我々は血管及び内臓平滑筋細胞の分化型形質維持可能な初代培養系を確立し、この培養系を用いて、ヒト血清、mild oxidationされたLDL(moxLDL)、及び動脈硬化巣由来の脂質分画に存在する不飽和リゾフォスファチンジン酸(LPA)が強い平滑筋細胞脱分化誘導能を有することを見いだし、脱分化を来すシグナル伝達系を解析した。この結果、不飽和LPA刺激によるERK及びP38MAPKが協調的に活性化により平滑筋細胞が脱分化し、さらに脱分化した平滑筋細胞が遊走・増殖することを明らかにした。不飽和LPAによる血管平滑筋細胞の脱分化は不可逆的で、短時間刺激で、脱分化が進行した。本年度はこれら培養系の知見をin vivoに応用した。ラットの総頸動脈に飽和(18:0)、不飽和(18:1)LPAまたはペプチド増殖因子であるPDGFやEGFを一過性にinfusionさせ、その後の血管構造に及ぼす変化を解析した。この結果、18:1 LPAのみが著明な内膜肥厚を誘起させた。内膜肥厚部では平滑筋細胞の分化型形質の分子マーカーであるh-カルデスモン及びカルポニンの発現量が低下しており、平滑筋細胞の脱分化が認められた。この脱分化はマクロファージの血管内皮下腔への浸潤に先行していた。18:1 LPAによる内膜肥厚はERK及びp38MAPKを介したシグナル伝達系の阻害剤であるPD98059及びSB203の両者の投与で完全に抑制された。以上の結果、不飽和LPAのinfusionにより中膜平滑筋細胞内でERK及びp38MAPKの活性化が起り、中膜平滑節細胞が脱分化し、さらに遊走・増殖することで内膜肥厚に至ったと考えられ、不飽和LPAが動脈硬化症発症の強力な誘引因子である可能性が示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura M.: "Transcriptional activation of β-tropomyosin mediated by serum response factor and a novel Barx homologue, Barx1b, in smooth muscle cells"J.Biol.Chem.. 276・21. 18313-18320 (2001)
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[Publications] Hayashi K.: "Phenotypic modulation of vascular smooth muscle cells induced by unsaturated lysophoshatidic acids"Cir.Res.. 89・3. 251-258 (2001)
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[Publications] 林 謙一郎: "平滑筋細胞形質転換の分子メカニズム"細胞The Cell. 33・9. 328-333 (2002)
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[Publications] Nishida W.: "A triad of SRF and the GATA and NK families governs the transcription of smooth and cardiac muscle genes"J.Biol.Chem.. 277・9. 7308-7317 (2002)
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[Publications] 林 謙一郎: "分化型・脱分化型血管平滑筋細胞のシグナル伝達と転写制御機構"分子心血管病. 3・6. 647-657 (2002)
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[Publications] Ohkawa Y.: "Calcineurin-mediated pathway involved in the differentiated phenotype of smooth muscle cells"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 301・1. 78-83 (2003)