2001 Fiscal Year Annual Research Report
2型ホスファチジン酸ホスファターゼの細胞内局在性と生理機能
Project/Area Number |
13670126
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
甲斐 正広 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80260777)
|
Keywords | ホスファチジン酸ホスファターゼ / ラフト / MDCK細胞 / 膜輸送 |
Research Abstract |
PAPの生理的役割を明らかにするにはその細胞内局在を知ることが一つのアプローチとなる。まずPAPとラフトとの相互作用について調べた。NIH3T3細胞に発現させたPAPアイソザイムでは、TritonX-100がPAP2aを可溶化する一方でPAP2bを可溶化しない。一方CHAPSを用いると両者とも全く可溶化されない。密度勾配遠心法などによる詳細な検討により、PAP2aとPAP2b、どちらもラフトと相互作用することが示された。ともにラフトへの相互作用を示しながらもTritonX-100への可溶性が全く異なるという両者の性質が生理的にも意味のあることなのかどうかを調べるために、PAP2a-YFPとPAP2b-CFPをCOS7細胞に共発現させ、ゴルジ体から表面膜への輸送過程を詳細に観察した。その結果、両アイソザイムは輸送小胞への分布でも異なるパターンを示すことが明らかになった。この結果は表面膜上の異なるミクロドメインへのターゲティングを反映するのではないかと考えて、次にMDCK細胞での局在を観察したところ、PAP2aはapicalドメインに、そしてPAP2bはbasolateralドメインに、互いに分離して局在することが分かった。ビオチン標識による生化学的解析によれば、約90%のPAP2aがapicalドメインに、一方PAP2bは約70%がbasolateralへと局在していた。しかしLPAを基質とした細胞表面活性を測定したところ、PAP2a発現細胞ではapical面での活性がbasolateral面での約6倍高い値を示した一方で、PAP2b発現細胞ではapical面とbasolateral面でのLPA水解活性がほとんど同じという結果を示した。PAP2aのapicalターゲティングシグナルは細胞質内に位置し、N末から2番目から7番目までの6残基(FDKTRL)の配列がapicalシグナルとして働いていることも明らかにした。
|