2001 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内情報伝達に関与する微小細胞膜領域の形成機構の解明
Project/Area Number |
13670130
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
白瀧 博通 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90249962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 識 獨協医科大学, 医学部, 助手 (60332996)
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Keywords | ラフト / SNARE系 / シンタキシン / 細胞骨格 / フォドリン |
Research Abstract |
現在、細胞膜受容体を介する細胞内情報伝達系において、細胞膜受容体やその関連情報伝達因子の特定微小細胞膜領域への局在化が、それらの分子を介する情報伝達に重要であることが明らかになりつつある。特に、細胞増殖等に関与しているGPIアンカー蛋白質を介した細胞内情報伝達系では、その細胞内情報伝達に関与する蛋白分子が微小細胞膜領域に局在化してラフトを形成するが、このラフト形成がGPIアンカー蛋白質を介した細胞内情報伝達系の機能発現に重要であることが明らかになっている。最近、このラフト形成に、普遍的膜融合装置であるSNARE系等によって制御されている細胞内小胞輸送が関与していることが明らかになりつつある。しかし、ラフト形成における細胞内小胞輸送の制御機構の分子メカニズムについては不明な点が多い。そこで、本研究では、ラフト形成に関与している可能性が高いSNARE系構成因子であるシンタキシン-3に結合する新たな蛋白分子の同定を試み、p80とp270の二つの新たなシンタキシン-3結合蛋白質を同定することに成功した。このうち、p270は、細胞膜直下の主要細胞骨格構成因子であるα-フォドリンであった。α-フォドリンは、シンタキシン結合蛋白質であるMunc18やSNAP-25と競合的にシンタキシンに結合し、SNARE複合体形成を制御している可能性が示唆された。さらに、シンタキシンは、細胞膜直下でF-アクチンとメッシュワークを形成しているα-フォドリンとのみ結合する可能性が出てきた。α-フォドリンは、細胞膜直下でF-アクチンと結合してメッシュワークを形成しており、細胞の形態維持に関与しているが、本研究から、α-フォドリンが、SNARE系を介して細胞内小胞輸送を制御し、微小細胞膜膜領域であるラフトの形成にも関与している可能性が出てきた。このように、本研究は予想以上に進展し、当初の目的はほぼ達成することができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nakano M., Nogami S., Sato S., Terano A., Shirataki H.: "Interaction of syntaxin with α-fodrin, a major component of the submembranous cytoskeleton."Biochem. Biophys. Res. Commun.. 288巻・2号. 468-475 (2001)
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[Publications] Shirataki H., Sasaki T., Takai Y.: "Rabphilin-3 : a target molecule for Rab3 small G proteins."Methods Enzymol.. 329巻. 75-82 (2001)
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[Publications] Ishihara S., Hirata A., Minemura M., Nogami S., Ohya Y.: "A mutation in SPC42, which encodes a component of the spindle Pole body, results in production of two-spored asci in Saccharomyces cerevisiae."Mol. Genet. Genomics.. 265巻・4号. 585-595 (2001)
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[Publications] Kobayashi N., Mori Y., Nakano S., Tsubokou Y., Shirataki H., Matsuoka H.: "Celiprolol stimulates endothelial nitric oxide synthase expression and improves myocardial remodeling in deoxyocrticosterone acetate-salt hypertensive rats."J. Hypertens.. 19巻・4号. 795-801 (2001)
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[Publications] Kobayashi N., Mori Y., Nakano S., Tsubokou Y., Kobayashi T., Shirataki H., Matsuoka H.: "TCV-116 stimulates eNOS and caveolin-1 expression and improves coronary microvascular remodeling in normotensive and angiotensin II-induced hypertensive rats."Atherosclerosis. 158巻. 359-368 (2001)