2001 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンシステム異常による家族性パーキンソニズムの解析
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13670155
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
鈴木 俊顕 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90252171)
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Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / パーキン / パーキンソン病 / 品質管理 / CHIP / 分子シャペロン / 線虫 |
Research Abstract |
"パーキン"は,家族性パーキンソニズムの一つである常染色体劣性遺伝性若年性パーキンソニズム(AR-JP)の原因遺伝子である。我々は順天堂大学医学部・水野教授らとの共同研究により、パーキンの機能解析を行い、本分子がRING型のユビキチンリガーゼであることを明らかにした。即ち、パーキンはC端側半分を占めるRING1-IBR(in between RING)-RING2領域でE2をリクルートすること,そしてN端領域のユビキチンと相同性の高いUbL(ubiquitin-like)ドメインとUPD(unique parkin domain)ドメイン(RING/IBRとUbLを連結する領域)を介して標的基質をトラップしそのユビキチン化反応を触媒する酵素であることが判明したのである。この成果はこれまで手掛かりのなかったパーキンソン病の原因解明と治療法確立への道を開く画期的なものと考えられる。本年度は、パーキンの生理的役割を解明するために、線虫を用いた遺伝学的な機能解析を進めた。その理由は、線虫のゲノムに、ヒトパーキンと極めて高い構造類似性を有するタンパク質をコードした遺伝子が存在したからである。GFP-Parkinを発現させた解析(蛍光顕微鏡による観察)から、パーキンは線虫において、主に脳と生殖器官に高く分布していることが判明した。また、線虫のパーキン遺伝子をノックアウトしたところ、行動を含めた顕著な表現形の変化は認められなかった。この結果から、線虫にはパーキンの役割を代償する遺伝子が存在する可能性が強く示唆された。この遺伝子を見出し機能解析することは、ヒトにおけるパーキンソン病の発症機構を解明するために有効な手段となることが期待されるので、現在、この方向での研究を推進中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Matsuda N.: "Rma1, a novel type of RING finger protein conserved from Arabidopsis to human, is a membrane-bound ubiquitin ligase"J Cell Sci. 114. 1949-1957 (2001)
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[Publications] Niwa J.: "A novel human RING-finger/IBR family protein, Dorfin, resides in centrosome and mediates ubiquitin ligase activity"Biochem Biophys Res Commun. 281. 706-713 (2001)
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[Publications] Kawakami T.: "NEDD8 recruits E2-ubiquitin to SCF E3-ligase"EMBO J. 20. 4003-4012 (2001)
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[Publications] Wang M.: "Developmental changes in the expression of parkin and UbcR7, a parkin-interacting and ubiquitin-conjugating enzyme in rat brain"J Neurochem. 77. 1561-1568 (2001)
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[Publications] Takabe W.: "Regulation of the expression and function of proteasome a-type subunits by the anti-atherogenic compounds in human endothelial cells"J Biol Chem. 276. 4097-40501 (2001)
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[Publications] Kadoya K.: "Desumolyation activity of Axam, a novel Axin-binding protein, is involved in downregulation of β-catenin"Mol Cell Biol in press.
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[Publications] 鈴木俊顕, 田中啓二(分担): "Annual Review神経2002(執筆項目:ユビキチンリガーゼParkinの基礎探索研究)"中外医学社(執筆1-6). 352 (2002)