2001 Fiscal Year Annual Research Report
膵腫瘍の病理組織診断の再検討:免疫組織化学、分子生物学的手法によるフィードバック
Project/Area Number |
13670159
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
清水 道生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60226256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 智雄 北海道大学, 医学部, 助手 (20301880)
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Keywords | intraductal papillary-mucinous tumor / p53 / MIB-1 / p27 / MMP-7 / E-cadherin / HE染色標本 |
Research Abstract |
粘液産性膵腫瘍は最近ではintraductal papillary-mucinous tumor(IPMT)と呼称されるようになってきたが、新WHO分類では大きくbenign(IPMA), borderline(IPMN), malignant(IPMC)の3つに分類されている。これらの切除症例に対して、一次抗体としてはp53, MIB-1, p27, MMP-7, E-cadherinを使用し、自動免疫染色装置(ベンタナNXシステム)にて免疫組織染色を行ない検討した。p53は正常の膵管上皮およびIPMAではいずれも陰性であったが、IPMT, IPMCでは半数以上に陽性例がみられた。MIB-1では生物学的悪性度に応じてlabeling indexの増加が認めらた。p27は正常の膵管上皮を含め、明らかな陽性を示す症例は認められなかった。MMP-7はIPMA, IPMN, IPMCいずれも50%の症例がfocal positivityを示した。E-cadherinはほぼ全例がdiffuse positivityを示した。 生物学的悪性度との相関が見られたものはp53とMIB-1であったが、この両者の発現が良・悪性の鑑別に重要で、細胞の増殖能が細胞ないしは構造異型とともに増加すると思われた。MMP-7は癌の浸潤に大きく関与しているとされているが、膵管内腫瘍ではその発現を半数で認めたもののいずれもfocalなものであった。p53やMIB-1の陽性率が高い症例のHE染色標本を見直してみると、陽性例はいずれも丈の高いvillous structureの目立つ症例ないしは核密度の目立つ症例であった。したがって、HE染色標本では比較的丈の高いvillousな構造やnuclear overlappingを加味してbenign, borderline, malignantの識別を行うことが重要と考えられた。
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