Research Abstract |
2001年にPancreatic Intraepithelial neoplasia (PanIN)の概念が提唱されたが,今回はまず,その概念の見直しに加えて,Intraductal Papillary-Mucinous Tumors (IPMN)との鑑別や亜分類を検討した.ついで,そこから浸潤癌に移行する症例についての検討を行った. PanIN病変ではMUC1,MUC2の陽性率は極めて低く,IPMNではMUC2の陽性率は高かった.浸潤癌ではMUC1がかなりの比率で陽性であった.IPMNに関しては,gastric type, intestinal type, pancreatobiliary type, oncocytic typeがあげられるが,pureなtypeは少なく,多くの症例でいずれかと混合する,混合型が多かった.また,pancreatobiliary typeではMUC1が陽性であり,症例の多くは日本の膵癌取扱い規約でいうpapillary adenocarcinomaとoverlapしている可能性が示唆された. 通常のductal adenocarcmomaに関して,p53,p27,MIB-1,bcl-2,cyclin D1,MMP-7の免疫組織学的検討を行ったが,p53は90%近い症例で腫瘍細胞の核に陽性所見を示し,同時にMIB-1も高い陽性率を示した.一方,bcl-2,cyclin D1については,文献的にはcyclin D1の発現は予後不良な症例と関与するとの報告があるものの,今回の検討では陽性所見は得られなかった.また,MMP-7に関しては,明らかな浸潤癌で高い陽性率を認め,間質への浸潤との強い関与が示唆された.HE標本との比較では,分化度がかなり高く,良性の腺管との鑑別に難渋する場合,intraglandular necrotic debrisを認めれば,悪性が強く示唆されると考えられた.
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