2001 Fiscal Year Annual Research Report
フォスファターゼ遺伝子DUSP6/MKP-3を用いた膵がんの遺伝子治療
Project/Area Number |
13670161
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古川 徹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30282122)
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Keywords | DUSP6 / MKP-3 / 膵臓がん / 遺伝子治療 / がん抑制遺伝子 / アデノウイルス / MAPK / apoptosis / phosphatase |
Research Abstract |
本研究においては膵臓がんにおけるヘテロ接合性喪失の集中領域である染色体領域12q21-q23.1に存在し、膵臓がん培養細胞において高頻度の発現消失あるいは減弱を認めるDUSP6/MKP-3の膵臓がん細胞に対する増殖抑制効果およびこれを用いた膵臓がんの遺伝子治療の可能性について検討することを目的とした。以下、研究実施計画に沿ってその成果を示す (1)DUSP6/MKP-3挿入非増殖型アデノウイルスベクターの作製 DUSP6/MKP-3の翻訳領域をV5HisタグをつけてアデノウイルスベクターpAdex1cwに挿入し、COS-TP法により非増殖型アデノウィルスAdDUSP6を作製した。同時にコントロールベクターであるLacZ導入非増殖型アデノウイルスAdLacZを作製した。得られたウイルスのtiterは1-5x10^9pfu/mlであった。 (2)In vitroでの膵がん細胞への感染実験 複数の膵臓がん培養細胞株を用い、multiplicity of infection (MOl)10,50で作製したアデノウイルスベクターを感染させ、組み換え蛋白質の発現、標的であるMAPK活性の変化、MTT法による細胞増殖能、軟寒天培地中でのコロニー形成能、flowcytometryによる細胞周期の解析を行った。結果、感染細胞ではMOl依存的に組み換えDUSP6/MKP-3の発現およびその増強、MAPK活性の低下、細胞増殖の抑制コロニー形成の減少が認められた、細胞周期解析により感染細胞はapoptosisに陥っており、それが増殖抑制の主たる機序であることが明らかとなった。 (3)ヌードマウス皮下移植ヒト膵がん腫瘍に対するin vivoでの腫瘍抑制効果の検討 ヌードマウス皮下に膵臓がん培養細胞を移植し、腫瘍を形成させた後アデノウイルスベクターを注入してその腫瘍増殖抑制効果を検討した。腫瘍抑制効果が一過性に認められるものの投与量、方法に工夫が必要と考えられた。
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Research Products
(1 results)