2001 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイを用いた骨軟部腫瘍診断法の確立のための基礎的な病理学的研究
Project/Area Number |
13670164
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
石田 剛 東京医科大学, 医学部, 講師 (40223002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元井 亨 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50291315)
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (80251304)
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Keywords | 軟部腫瘍 / 骨腫瘍 / マイクロアレイ / 融合遺伝子 / 染色体転座 / RT-PCR / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
遺伝子検索に用いる骨軟部腫瘍症例約100例につき画像情報、免疫組織化学の結果をふまえ組織学的に再評価を行った。その結果これらの症例の病理診断は妥当であると判断された。染色体分析を行い得た症例では、これまでに知られている腫瘍特異的な染色体転座を確認できた。Ewing肉腫/末梢性神経外胚葉性腫瘍の1例において、これまでに報告のないt(4;19)という染色体転座を示した。この例についてはFISH法でも既知の転座がないことを確認した。染色体転座により生じる融合遺伝子の検出の検討では、先天性線維肉腫(CFS)のETV6-NTRK3、骨外性粘液型軟骨肉腫(ESMC)のEWS-CHNおよびTAF2N-CHN、明細胞肉腫(CCS)のEWS-ATF1についてパラフィン包埋検体を用いて行った。CFSでは7/10例にETV6-NTRK3が検出された。融合遺伝子のvariationはなかった。また、成人型繊維肉腫や線維腫症ではこの融合遺伝子は検出されなかった。ESMCでは、18例中12例にEWS-CHNが、3例でTAF2N-CHNが検出されたが、3例では融合遺伝子が検出されなかった。EWS-CHNでは切断点の異なる2種類の融合遺伝子が検出された。CCSでは8例全例でEWS-ATF1が検出されたが、興味深いことに1例を除き切断点の異なる複数の融合遺伝子が検出された。このような結果は他の肉腫では報告がなく、スプライシングにより生じる可能性が考えられる。以前確認した粘液型脂肪肉腫(M-LPS)のTLS-CHOPや滑膜肉腫(SS)のSYT-SSX1およびSYT-SSX2の結果と考えると、本研究の結果は肉腫の融合遺伝子は腫瘍に比較的単一なものからvariationに富んだものまでさまざまであり、また、その発現頻度にも違いがあり、マイクロアレイを用いた肉腫の遺伝子診断の基礎的データとなるものと考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sheng, W.Q.: "Congenital-Infantile fibrosarcoma. a clinicopathologic study of 10 cases and molecular detection of the ETV-6-NTRK3 fusion transcripts using paraffin-embedded tissues"Am. J. Clin. Pathol.. 115・3. 348-355 (2001)
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[Publications] Okamoto, S.: "Extraskeletal Myxoid chondrosarcoma. a clinicopathologic, immunohistochemical, and molecular analysis of 18 cases"Hum. Pathol.. 32・10. 1116-1124 (2001)
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[Publications] 元井 亨: "軟部明細胞肉腫におけるキメラ遺伝子転写産物EWS-ATF1の発現の検討と診断へ応用について"日本病理学会会誌. 91・1. 129 (2002)