2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌の間質浸潤過程における基底膜破壊の分子機構の解析
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13670166
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
明石 巧 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 講師 (60242202)
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Keywords | 肺癌 / 基底膜 / 癌間質相互作用 / サイトカイン |
Research Abstract |
平成13年度は肺癌細胞と間質細胞の相互作用に与える基底膜物質の影響を実験的に検討した。線維芽細胞の増生巣では高頻度に基底膜が断烈、消失している(JJCR, 2001, 92, p293)ことから、線維芽細胞の増生には肺癌細胞の分泌するサイトカインと基底膜物質が関与している可能性を想定し、in vitroの実験系によってこの仮説を検討した。肺癌細胞10株(腺癌A549, PC3, MS, RERF-LCMS, RERF-LC-OK, VMRC-LCD, ABC-1扁平上皮癌EBC-1小細胞癌Lu-134-AH, RERF-LC-MA, SBC1)の無血清培養上清を胎児肺線維芽細胞TIG1に添加し、3Hthy血dmeの取り込みを計測すると、A549,EBC-1, RERF-LC-MAで2.3-5.2倍の増殖冗進が認められた。EUSA法による定量中和抗体による抑制から、A549からの増殖刺激因子としてはbFGF、PDGFが考えられた基底膜物質マトリゲル自体の可溶性成分にも増殖刺激作用が認められ、A549の存在下では増殖刺激作用がさらに冗進したが、ここにはA549由来のbFGF、PDGFが検出されず、bFGF、PDGFの拡散はマトリゲルによって阻止されていた。基底膜の消失により、肺癌細胞由来の間質増殖因子bFGF、PDGFの拡散障壁がなくなること、さらに癌細胞による基底膜の破壊により基底膜中の間質増殖刺激因子が放出されることにより間質細胞の増生が起きるという機序が示唆された。 基底膜物質はサイトカインの拡散障壁となる以外に、細胞外基質レセプターを介して、癌細胞や間質細胞の細胞形質の変化をきたしていると予想される。現在、基底膜物質によっておきる癌細胞の遺伝子発現パターンの変化をDNAマイクロアレイを用いて検索中である。
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Research Products
(1 results)