2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670195
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中島 裕 久留米大学, 医学部, 講師 (00258451)
|
Keywords | 肝細胞癌 / 肝癌肉眼型 / 肝内転移 |
Research Abstract |
平成13年度研究において肝癌の癌組織内での腫瘍マーカーであるAFP(アルファプロテイン)の発現が悪性度の指標となることを明らかにした。平成14年度は肝細胞癌の悪性度に更に注目して検討した。肝癌は治療後に高率に再発してくるが、その再発形式としては新たな発癌による多中心性発癌と、初発の肝癌の転移再発つまり治療時は検出困難であった微少な転移巣からの再発という2つが考えられている。この内肝癌患者の予後を不良にしている因子は転移再発とされている。この転移再発を初発時の肝癌切除組織から推察することが可能であれば、非常に貴重な悪性度の評価と考えられる。そこで今回は肝内転移巣と肝癌の肉眼型との関連に注目して検討した。原発性肝癌の肉眼分類(境界不明瞭型、単結節型、単結節周囲増殖型、多結節癒合型)に準じて当科における3cm以下肝癌切除例209例における肝内転移を含めた病理組織学的パラメーターを検討した。その結果早期の肝癌肉眼型と考えられる境界不明瞭型には門脈侵襲や肝内転移は確認されず従来の報告を裏づけるものであった。一方他の3型においては腫瘍径や組織分化度には有意差は見られなかったが、門脈侵襲や肝内転移の頻度に単結節型とその他の2型(単結節周囲増殖型、多結節癒合型)の間に有意差があることが確認された。そこで209例の内肝内転移が見られた22例の転移巣(149結節)を微細に検討した。その結果肝内転移巣の約60%は5mm以下と現時点での画像診断で検出困難な結節径であり、肉眼型によって原発巣から転移巣への距離も異なる事が示唆された。これらのことから実際の肝癌の画像診断で血流評価とともに肝癌の肉眼型の評価が極めて重要であることを明らかにした。 平成15年度は肝癌肉眼型別、AFP発現症例における細動脈の関連、血管新生因子angiopoietin、Tie 2 (angiopoietin receptor)の発現に関して検討を進める予定である。
|