2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670198
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
出雲 俊之 埼玉県立がんセンター, 研究室, 研究員 (80322709)
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Keywords | MALTリンパ腫 / アポトーシス / リンパ腫分類 |
Research Abstract |
MALTリンパ腫の発生機序については、近年、病因遺伝子API2-MLTやBCL10が報告され、apoptosisに関連した腫瘍発生進展の分子機序研究が進展しつつある。しかし、これらの遺伝子異常は、発生臓器によって大きく異なることから、本腫瘍には発生進展分子機序の異なる亜型の存在が推測される。そこで、本年度研究では、各種臓器に発生したMALTリンパ腫症例の発生臓器による特性を比較検索し、また、腫瘍発生におけるapoptosis異常の関与について検討した。病理組織学的に腫瘍組織像を詳細に比較検討すると共に、in situ DNA nick end-labelling法によりapoptotic index (AI)、Ki-67 labelling法によりproliferative index(PI)を計測し、また、各種apoptosis関連蛋白の発現について免疫組織化学的に検索した。対照群としてMALTのmarginalzone及びB細胞性リンパ腫も比較検索した。検索結果をまとめると、(1)腫瘍細胞の構成は、消化管で最も多彩な像を示し、また、上皮増生を伴う著明なlymphoepithelial lesionの形成は、唾液腺・肺・咽頭・胸腺のみに見られ、臓器による組織像の違いが認められた。(2)AI、PIは発生臓器による差異があり、胃、大腸は高く、肺は低い。(3)AIはMALTリンパ腫0.1-2.8(平均0.8)%で、対照群MALT、marginal zone 0.8-2.8(1.9)%、FCL.0.3-2.8(1.2)%、DLBL.1.8-6.2(4.2)%、Burkitt L.6.8-13.2(11.2)%に比較して明らかに少なく、AI/PIの比も同様であった。(4)検索したapoptosis関連蛋白には特異的発現異常は認められなかった。以上の結果より、形態学的にもMALTリンパ腫亜型の存在が示唆され、また腫瘍組織においてapoptosisが抑制されていることが明らかとなった。
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