2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病菌プロテアーゼの細胞機能修飾作用解析を基盤とした炎症慢性化の研究
Project/Area Number |
13670221
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
今村 隆寿 熊本大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20176499)
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Keywords | 歯周病菌 / システインプロテアーゼ / トリプシン様プロテアーゼ / 歯肉線維持芽細胞 / マトリックスメタルプロテアーゼ / DNAチップ / 好中球 / 歯肉上皮細胞 |
Research Abstract |
歯周病は主としてPorphyromonas gingivalisの持続感染による慢性炎症によって引き起こされる。本菌の産生するトリプシン様システインプロテアーゼ(ジンジパイン;HRgpA, RgpB, Kgp)は、菌自体のハウスキーピングや感染過程だけでなく、歯周病に関わる様々な病理作用を持つ。筆者らは、ジンジパインの血漿カスケード反応系の異常活性化による生体機能撹乱作用を明らかにしてきた。 今年度は、細胞機能に対する作用を検討した。まず、その作用のスクリーニングの為に、培養歯肉線維芽細胞をHRgpA(10nM)で刺激し、1時間後に上昇するmRNAをDNAチップで解析したところ、D53、Synaptotagmin、Synaptogyrin、Homolog of Drosophilia discs large protein、Aorta caldesmonが約20〜80倍上昇することがわかった。これらのmRNAは同じトリプシン様プロテアーゼである活性型第X因子で刺激した場合に比較してもはるかに上昇率が高く、一方、AQP mRNA for aquaporin 9は逆に低かった。これは、HRgpAの細胞刺激作用の特徴として興味深く、今後さらに解析を続ける予定である。 次にマトリックスメタルプロテアーゼ(MMPs)と歯周病、ジンジパインの関係を調べた。まず、MMP特異的抗体で歯周病組織の免疫染色を行ったところ、健康歯肉に較べてMMP-1、-2、-9の発現増加が認められた。そこで、ジンジパインのMMP産生に対する効果を歯肉培養細胞からのMMP産生で調べた。線維芽細胞からのMMP-1の産生は1 nMの添加でHRgpAで2.5倍、RgpAで2倍の産生増加が認められた。好中球では1 nMの添加でHRgpAで7倍、RgpBでは1.3倍のMMP-9の産生増加がみられた。歯肉上皮細胞MMP-2産生はRgpB 0.1 nMで約5倍の産生増加がみられたが、HRgpAではこの増加に1 nMが必要であった。 これらの結果から、Rgpsが歯肉細胞を刺激してMMPsの産生を増強することにより歯周組織の破壊が促進していることが示唆された。また、活性型第X因子特異的阻害薬DX-9065aがRgpsの作用を数10μMで抑制することがわかり、この阻害薬が歯周病治療として応用できる可能性が示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Imamura, T.他4名: "Activation of blood coagulation factor IX by arginine-specific cysteine proteinases(gingipain-R) from Porphyromonas gingivalis"Biochem. J.. 353. 325-331 (2001)
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[Publications] Imamura, T.他4名: "Activation of human prothrombin by arginine-specific cysteine proteinases(gingipain-R) from Porphyromonas gingivalis"J. Biol. Chem.. 276. 18984-18991 (2001)
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[Publications] Imamura, T.他3名: "Inhibition of trypsin-like cysteine proteinases (gingipains) from Porphyromonas gingivalis by tetracycline and it's analogues"Antimicrob. Agents Chemother. 45. 2971-2876 (2001)
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[Publications] Matsushita, K., Imamura, T.: "Selective inhibition of P.gingivalis growth by a factor Xa-speciffic inhibitor, DX-9065a"J. Dent. Res.. (in press). (2002)
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[Publications] Imamura, T.: "Role of gingipains in the pathogenesis of periodontal disease"J. Periodontol. (in press). (2002)
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[Publications] Tada, H., Imamura, T.他7名: "Proteolysis of CD14 on human gingival fibroblasts by arginine-specific cysteine proteinase(gingipain-R) from Porphyromonas gingivalis leading to down-regulation of lipopolysaccharide-inducedinterleukin-8 production"Infect. Immun.. (in press). (2002)