2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670226
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福間 真理子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60101995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 明弘 国立成育医療センター, 研究所・生殖医療研究部, 部長(研究職) (70213486)
秦 順一 国立成育医療センター, 研究所, 所長(研究職) (90051614)
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Keywords | Ewing肉腫 / キメラ蛋白質 / EWS / ets / HLH型転写因子 / 分化抑制遺伝子 / ld2 |
Research Abstract |
【平成14年度研究実績】平成13年度には,Ewing肉腫細胞において発現している遺伝子を検索し,分化抑制遺伝子Id2が特異的に高発現していることを見いだした.今年度はId2遺伝子をキメラ蛋白の標的遺伝子の一つと考え,キメラ蛋白とId2遺伝子との相互作用を詳細に解析した. 1.Id2遺伝子のプロモーター配列を単離し,キメラ蛋白のId2遺伝子発現に及ぼす作用を詳細に検討した結果EWS/etsキメラ蛋白はets認識配列を通してId2遺伝子の発現を促進していることが明らかとなった.さらにキメラ蛋白の方がprorotypeのets蛋白よりさらに強い転写活性化があることが確認された. 2.キメラ蛋白とId2遺伝子プロモーターとの相互作用を解析した結果,キメラ蛋白がId2遺伝子の転写調節配列に直接結合することが明らかとなった.さらに,キメラ蛋白はc-myc, cyclin D, matrix metalloproteinase(MMP)-1の転写調節領域にも結合していることが明らかとなった. この研究によりEWS/etsキメラ蛋白は直接的に分化抑制遺伝子であるId2を活性化することが明らかとなった.キメラ蛋白によって発現の亢進したId2はretinoblastoma protein(RB)と結合しているE2Fを遊離させ,細胞を分裂増殖へと向かわせると考えられる.一方では,Id2は分化に関与した遺伝子の発現に必要なE蛋白のヘテロダイマー形成を阻害し,正常の組織系列への分化を抑制することが考えられる.即ち,Ewing肉腫ではEWSキメラ蛋白の出現によりc-myc/RB/Id2の遺伝子系列が活性化され細胞増殖へと進む一方,E蛋白による分化が抑制され極めて未分化な形態を示すことと考えられる.Ewing/PNET肉腫発生の分子メカニズムの詳細な解明は分子標的治療法の開発につながるものと期待される.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fukuma, M., Okita, H., Hata, J., Umezwa, A.: "Up-regulation of Id2, an oncogenic helix-loop-helix protein, is mediated by the chimeric EWS/ets protein in Ewing sarcoma"Oncogene. 23. 1-9 (2003)
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[Publications] Yabe, H., Fukuma, M., Urano, F., Yoshida, K., Kato, S., Toyama, Y., Hata, J., Umezawa, A.: "Lack of matrix metalloproteinase (MMP)-1 and -3 expression in Ewing sarcoma may be due to loss of accessibility of the MMP regulatory element to the specific fusion protein in vivo"Biochem Biophys Res Commun. 293. 61-71 (2002)
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[Publications] 福間真理子, 大喜多肇: "Ewing肉腫とキメラ遺伝子"病理と臨床. 21巻6号(未定). (2003)
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[Publications] 秦 順一, 大喜多肇, 福間真理子, 浦野文彦, 梅澤明弘: "Ewing/PNET腫瘍における」EWS関連キメラ遺伝子"小児外科. 34巻4号. 418-421 (2002)
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[Publications] 福間真理子, 秦 順一, 梅澤明弘: "キメラ遺伝子と疾患 Ewing肉腫特異的キメラ蛋白のターゲットとしての分化抑制遺伝子"日本癌学会61回総会記事. 0546-0476. 70 (2002)
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[Publications] 福間真理子, 秦 順一, 梅澤明弘: "Ewing肉腫細胞特異的EWS-Ets融合蛋白によるHLH転写抑制遺伝子の活性化"日本病理学会誌. 91巻1号. 130 (2002)