2002 Fiscal Year Annual Research Report
カベオリン-3とジストロフィンの二重欠損筋ジストロフィーマウス作成と病態の研究
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13670237
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
萩原 康子 国立精神・神経センター, 神経研究所・モデル動物開発部, 室長 (00175530)
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Keywords | カベオリン-3 / ジストロフィン / 筋ジストロフィー / 欠損マウス |
Research Abstract |
骨格筋の変性・壊死および再生を主病変とする筋ジストロフィーの研究では、Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)のジストロフィン遺伝子をはじめとして、その病因遺伝子が約20個明らかにされている。カベオリン-3遺伝子異常による肢帯型筋ジストロフィー(LGMD1C)の症例が1998年に報告され、カベオリン-3と筋ジストロフィー病態との関連が注目されている。本研究では、研究代表者らがジーンターゲティング法で作成したカベオリン-3欠損マウスと、ジストロフィン欠損のmdxマウスとの交配により、カベオリン-3とジストロフィンとの二重欠損マウスを作成し、両タンパク質の筋ジストロフィー病態への複合的関与を明らかにすることを目的とする。本年度は、カベオリン-3ヘテロ変異のmdxマウスF2同士を交配したF3での解析を行った。カベオリン-3およびジストロフィンの遺伝子変異は、PCR法により同定した。イムノブロット解析において、二重欠損マウスの骨格筋には、ジストロフィンおよびカベオリン-3は発現していなかった。ユートロフィン、ジスフェルリンは、野生型に比べて発現が増加していた。免疫組織化学でのジストロフィン抗体では、mdxマウスと同様にリバータントファイバーを除いては筋細胞膜は染まらなかったが、ユートロフィン抗体では筋細胞膜が濃く染まった。カベオリン-3抗体ではカベオリン-3ホモ変異マウスと同様に筋細胞膜は染まらなかった。週齢を追った二重欠損マウスヒラメ筋でのH&E染色像では、2.5週齢でわずかに浸潤細胞が観察された。壊死・再生像が3.5週齢で観察され、5週齢では多くの小さい中心核筋線維がみられたが、同腹のmdxマウスヒラメ筋での病理像と比較して特別な差はみられなかった。さらに、2ケ月齢、4ケ月齢、1年齢のヒラメ筋の病理像でも差がみられず、組織学的には二重欠損マウスでの相加的効果は、はっきりしなかった。今後は両マウスの遺伝子発現レベルでの比較を予定している。
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Research Products
(1 results)