2001 Fiscal Year Annual Research Report
老化促進モデルマウスに見られるタウ封入体を伴う大脳皮質変性症の原因遺伝子
Project/Area Number |
13670238
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
島田 厚良 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 形態学部, 室長 (50311444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸川 正大 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 形態学部, 部長 (80112374)
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Keywords | 老化促進モデルマウス / 脳 / 老化 / 遺伝 / 封入体 / タウ / ユビキチン / QTL |
Research Abstract |
加齢に伴い大脳皮質変性症が進行する近交系、老化促進モデルマウスSAMP10系(以下P10)と正常老化を示す近交系マウスSAMR1系(以下R1)とを用いて、以下の成果をあげた。 1.老齢P10マウスの大脳皮質には、抗タウ抗体であるAT8によって細胞質が粗大顆粒状に陽性となるニューロンがごくまれに存在することが再確認された。Pretangleと共通性をもつ病変として今後も検討を続ける。 2.老齢P10マウスでは、ユビキチン化された細胞質内封入体が、主として中型から大型のニューロンに認められた。その分布は内嗅領皮質と扁桃体前部に始まり、海馬・梨状葉皮質から前頭前野・嗅球へと拡がっていた。各種組織染色と電顕的観察の結果、この封入体の本体はリポフスチンに密接に関連して凝集した異常タンパク質と考えられた。その分布パターンが神経原線維変化のそれと類似していることと出現頻度が高いことを考えると、マウスではタウ封入体よりもむしろこのユビキチン化封入体が大脳変性症の良い指標になり得ると考えられた。 3.P10とR1との交雑F1マウスを約100匹、F2マウスを約500匹作出し、現在、集団として老化させている。すでにF2マウス100匹とF1マウス40匹が高齢に達したので屠殺し、脳の老化指標の検討を開始した。そのうち、16ヵ月齢時の脳重を指標にした場合、P10、R1、F1、F2の分布パターンから判断して、脳萎縮は複数の遺伝子が関与する多因子遺伝のパターンで遺伝していることがわかった。一方、マイクロサテライトをマーカーとすると、P10とR1の間で多型を示す染色体領域が充分に多く存在することが明らかになった。従って、これらの脳老化指標を用いて量的形質遣伝手座(QTL)の解析が可能であることが判明した。
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Research Products
(1 results)