2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670249
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
津田 良夫 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20207393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江下 優樹 大分医科大学, 医学部, 助教授 (10082223)
高木 正洋 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60024684)
沢辺 京子 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (10215923)
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Keywords | ネッタイシマカ / デング熱 / 都市化 / 遺伝的変異 |
Research Abstract |
インドネシア・スラバヤより採集されたコロニーから人為的に選抜された白色および黒色系統を用いて、体色発現に関与すると思われる生態的要因、特に幼虫発育時の生息密度と餌条件について室内実験を行った。幼虫を4っの異なる密度(10、20、40、80頭/容器)で飼育し、週1回30mgの餌を与えて、その生存率と発育速度を調べると共に、羽化した成虫の体色変異を調べた。その結果、幼虫の生息密度が体色に影響することはないことが明らかになった。また、黒色系統の方が白色系統よりも発育速度が速く、両系統の個体が混生する場合には系統間の発育速度の違いが大きくなり、黒色系統の発育が促進されることがわかった。黒色系統と白色系統の行動習性、特に産卵習性に関する野外実験をインドネシア・スラバヤ市のアイルランガー大学構内の動物舎で実施した。実験室で飼育・吸血させた235頭および276頭の白色系統と黒色系統の成虫に蛍光色素でマークし、動物舎屋内に放逐した。動物舎内部と周辺にそれぞれ10個、また、動物舎に最も近い獣医学部の建物周辺に5個(合計25個)の産卵トラップを設置して、産卵数を毎日調べた。産卵された卵はそのまま孵化させ、成虫まで飼育して体色を調べた。約3500卵が確認され、このうち2235頭の幼虫が孵化して、2012頭の成虫が羽化した。産卵トラップごとに羽化した白色個体と黒色個体の割合を分析したところ、黒色系統と白色系統の産卵場所選択性に違いがあることが示唆された。黒色系統は屋内の暗い場所に比較的多く産卵するが、放逐場所からかなり離れた屋外のトラップにも産卵が確認された。白色系統の産卵は、動物舎周辺に設置されたトラップに限られていた。
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