2002 Fiscal Year Annual Research Report
細菌リポ多糖による内因性インターフェロン-γの産生機構とその役割の解明
Project/Area Number |
13670280
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
松浦 基博 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20150089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 慎二 自治医科大学, 医学部, 助手 (50195989)
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Keywords | エンドトキシン / 細菌リポ多糖 / インターフェロン-γ / 一酸化窒素 / IL-12 / IL-18 |
Research Abstract |
前年度までの研究で、細菌リポ多糖(LPS)でマウス腹腔細胞を刺激した場合、マクロファージ系細胞から誘導されるIL-12とIL-18が相乗的に非付着性細胞に作用してインターフェロン(IFN)-γ産生を誘導し、そのIFN-γがマクロファージ系細胞に作用して一酸化窒素(NO)産生の誘導に関与するというネットワーク機構の存在を示すことができた。この機構の中でIL-12に関しては抗体による抑制効果もLPS刺激後のその産生も検出できたが、IL-18に関しては抗体による抑制効果は認められたが産生の検出はできなかった。検出感度の問題やIL-18の未知の挙動が関与している可能性がある。IL-18は細胞内で前駆体型として産生され、カスパーゼ-1による限定分解を受けて活性型IL-18として細胞外へ放出されることが分かっている。そこでカスパーゼ-1阻害剤を腹腔細胞系に作用させLPS刺激を行ったところ、抗IL-18抗体と類似した作用、即ち、IFN-γ及びNO産生に対する部分的抑制が見られ、その抑制はIL-18の添加により回復された。対照として同様のカスパーゼ-1作用が必要なIL-1β産生も検討したが、この場合は阻害剤による強い産生抑制が認められ、その抑制はIL-18添加によっても回復されなかった。この結果は活性型IL-18の関与を更に支持するものであった。また、IFN-γからNO産生へ至る情報伝達系では転写因子の一つであるIRF-1が重要な働きをすることが報告されているので、我々のLPS刺激腹腔細胞系でもIRF-1の動きをゲルシフトアッセイにより調べた。その結果、IRF-1の活性化はLPS刺激後6時間以前には認められないが18時間後には明らかに認められた。この結果は、IFN-γ産生が8時間付近から認められ始めることとの相関性を示した。本課題による研究で、LPS→IL-12,IL-18→IFN-γ→IRF-1→NOという経路の存在とLPS誘導性NO産生へのIFN-γの役割を明らかにできた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Shimomura, H.: "Lipopolysaccharide of Burkholderia cepacia and its unique character to stimulate murine macrophages with relative lack of interleukin-1 β-inducing ability"Infect. Immun.. 69-6. 3663-3669 (2001)
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[Publications] Isshiki, Y.: "Separation of 6-deoxy-heptane from a smooth-type lipopolysaccharide preparation of Burkholderia pseudomallei"FEMS Microbiol. Lett.. 199. 21-25 (2001)
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[Publications] 平井義一: "H. pylori時代の消化性潰瘍学-H. pylori発見20周年を記念して-III.発症機序・治癒機転 エンドトキシンによる胃粘膜傷害機序"日本臨床. 60・増刊2. 113-118 (2002)
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[Publications] Brandenburg, K.: "Biophysical characterization of triacyl monosaccharide lipid A partial structures in relation to bioactivity"Biophys. J.. 83. 322-333 (2002)
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[Publications] Kawahara, K.: "Modification of the structure and activity of lipid A in Yersinia pestis lipopolysaccharide by growth temperature"Infect. Immun.. 70・8. 4092-4098 (2002)
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[Publications] Kawai, Y.: "The partially degraded lipopolysaccharide of Burkholderia cepacia and ornithine-containing lipids derived from some Gram-negative bacteria are…"FEMS Immunol. Med. Microbiol.. 34. 173-179 (2002)
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[Publications] 松浦 基博: "医科細菌学、改訂第3版"南江堂. 378(9) (2001)