2002 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスコアタンパク質によるNF-κB活性化機構の解析
Project/Area Number |
13670296
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
土方 誠 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (90202275)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 肝癌 / NF-κB / Two Hybrid / タンパク質間相互作用 / レチノイン酸レセプター / 転写コファクター / ゲノム複製 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)感染による慢性肝炎、肝硬変、そして肝癌発症にはHCVの慢性持続感染が主要な原因であることが考えられる。そこでHCVの持続感染成立に深く関係すると考えられるHCVコアタンパク質(コア)による転写因子NF-κB活性化機構を明らかにすることを本研究の主たる目的とした。コアと相互作用する細胞性因子の同定ならびにその細胞性因子とNF-κB活性化との関連を明らかにするため、コアと結合する細胞性因子を酵母Two Hybrid法によってクローニングした。その結果得られた独立した候補遺伝子cDNAの中にレチノイン酸受容体(RAR)の転写コファクターSp110のスプライシング変異体であるSp110bが含まれていた。我々はコアがレチノイン酸による転写活性化を増幅することを認めており、また転写コファクターは転写因子間で共用されることが多く報告されていることから、この因子の機能解析をおこなった。その結果Sp110bは種々の組織や細胞においてSp110に比べて高度に発現されており、RARによる転写活性を負に制御する転写コファクターであることがわかった。コアが存在した場合Sp110bは本来の局在の場である核内からコアの存在する細胞質へ局在を変化させた。この局在の変化とコアによるRARによる転写活性化増幅はSp110b分子上のコア結合最小領域に相当するペプチドを過剰に発現させることで抑制されることから、これらの変化がSp110bとコアとの相互作用によって引き起こされることが考えられた。現在Sp110bと転写因子NF-κB活性化との関連を検討している。 またこのコアの活性とHCVゲノム複製との関連を調べる目的でまずHCV構造タンパク質領域を含まないサブゲノムが培養細胞内で自己複製するサブゲノム複製系が完成し、これを基にコア領域を含むゲノム全長を有する培養細胞内HCVゲノム複製系を構築した。現在、Sp110bとHCVゲノム複製の関連について解析を進めている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Kishine, et al.: "Subgenomic replicon derived from a cell line infected with the hepatitis C virus"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 293・3. 993-999 (2002)
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[Publications] K.Shimotohno, et al.: "Hepatitis C virus and its roles in cell proliferation"J. Gastroenterol.. 37・sup13. 50-54 (2002)