2001 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスの翻訳抑制機構と持続感染機構の解明
Project/Area Number |
13670309
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
下池 貴志 国立感染症研究所, ウイルス製剤部, 主任研究官 (90332361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 哲朗 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (00250184)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / IRES / 翻訳調節 / キャプシドタンパク質 / タンパク質RNA相互作用 |
Research Abstract |
コア蛋白質によるHCVの翻訳抑制に必要なHCV5'非翻訳領域(5'UTR)の同定 コア蛋白質はHCV5'UTRの10領域のオリゴRNAの中でstem-loop I(I)、23-41nt及び、stem-loop IIId(IIId)領域のRNAと結合することがBIAcoreを用いた実験より明らかとなった。コア蛋白質の結合量はそれ以外の7領域のRNAに比べ、IIId領域は約12倍、Iと23-41nt領域は約2.5倍であった。 そこでこれら(I、23-41nt、及びIIId)の領域をそれぞれ欠失させたレポータRNA;ΔILuc、Δ23-41Luc、及びΔIIIdLucを作製し細胞内でのこれらのLuciferase活性を調べることにより、コア蛋白質による翻訳抑制効果を調べたところ、ΔIIIdLucの場合のみコア蛋白質が発現している細胞でも翻訳が抑制されなくなった。更に、IIId領域内のbulge loopがstem構造を取り得るよう、275ntのAをCUに置換した、或いはIIId領域のloopに存在するGGG(5'末端から266-268ntの位置)をCCCに置換したレポータRNA(それぞれIIId-1Luc、IIId-2Luc)を作製しこれらの活性を調べた。コア蛋白質による翻訳はIIId-1Lucでは依然抑制されたが、IIId-2Lucでは抑制されなくなった。これらのことはコア蛋白質によるHCV IRES依存的翻訳抑制にはIIId領域が重要で、特にloop領域のGGGが重要であると考えられる。またBIAcoreにより、コア蛋白質は他のホモオクタマーRNAに比べG_8に約3倍量結合する結果を得た。 そこで、IIId-1、IIId-2領域のオリゴRNAとコア蛋白質との結合をBIAcoreを用いて調べた。IIId-2へのコア蛋白質の結合量は塩基置換前のwt IIId領域のオリゴRNA場合よりも約0.74倍減少した。一方、IIId-1では約1.1倍増加した。このことはコア蛋白質のIIId領域に対する結合には、GGG領域が重要であると考えられる。またbulge領域もGGG領域程ではないが、コア蛋白質結合において関与が考えられる。 以上よりコア蛋白質がIIId領域内のloopに存在するGGGに結合することにより翻訳が抑制されると強く示唆される。
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Research Products
(2 results)