2002 Fiscal Year Annual Research Report
免疫制御に関わるMAPキナーゼ経路の解析と下流分子の検索
Project/Area Number |
13670316
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
緒方 正人 三重大学, 医学部, 教授 (60224094)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / 免疫細胞 / MAPキナーゼ / p38 / ERK |
Research Abstract |
MAPキナーゼ(MAPK)ファミリーに属するp38やERKは、免疫制御の鍵分子である。個々のMAPKは、それぞれ異なった制御を受け、また、異なった基質特異性を発揮することで固有の機能を果たすと考えられる。MAPKノックアウトマウスは固有機能の解明に有用であるが、重複した機能の解析は困難であり、特定のMAPKだけが機能亢進した状態を作ることも重要である。我々は、チロシン脱リン酸化酵素のLC-PTPが、P38やERKのCD領域に結合すること、p38やERKの活性を抑制することを明らかにした。さらに、p38やERKのCD領域にsem型の点突然変異を導入すると、これらMAPKに対するLC-PTPの結合性/抑制作用が消失することを明らかにした。 そこで、本年度は、p38やERKのCD領域にsem型の点突然変異を導入したノックインマウスを作成し、その解析を行った。sem型p38のノックインマウスは生存可能であり、初代培養細胞を調べる限りp38の明らかな活性化亢進は認めなかった。p38の抑制制御には、上記のチロシン脱リン酸化酵素以外にWip1などのセリン/スレオニン脱リン酸化酵素も関わるとされるが、sem型p38はWip1との結合性には異常を認めないことから、チロシン脱リン酸化酵素以外の分子による重複した抑制制御が存在すると考えられた。 一方、sem型変異を導入したERK2は、致死となった。このマウスの心におけるERK2の活性化を調べたところ、ERKの明らかなリン酸化/活性化の亢進を認めた。従って、p38とは異なりERK2の抑制制御にはチロシン脱リン酸化酵素が必須であると考えられる。この抑制機構は、少なくともマウス胎児の生存に必須である。このマウスでは、sem型ERK2をコンディショナルに発現させることが可能であり、今後、免疫細胞への影響を検討する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Miyake, K., et al.: "Essential role of MD-2 in B-cell responese to lipopolysaccharide and Toll-like receptor 4 distribution"J Endotoxin Res.. 8. 449-452 (2002)
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[Publications] Nagai, Y., et al.: "Essential role of MD-2 in LPS responsiveness and TLR4 distribution"Nat. Immunol.. 3. 667-672 (2002)
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[Publications] Uchida, Y., et al.: "Localization of PTP-FERM in nerve processes through its FERM domain"Biochem Biophys Res Commun.. 292. 13-19 (2002)
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[Publications] Tanimura, N., et al.: "Dynamic changes in the mobility of LAT in aggregated lipid rafts upon T cell activation"J Cell Biol.. 160. 125-135 (2003)
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[Publications] Cottom, J., et al.: "Follicle Stimulating Hormone Activates Extracellular Signal Regulated Kinases but Extracellular Signal Regulated Kinases Kinase through a 100 kDa Phosphotyrosine Phosphatase"J Biol Chem.. 278. 7167-7179 (2003)