2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670340
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
紺野 信弘 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (10045784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 正史 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (00271221)
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Keywords | 有機スズ化合物 / 神経毒性 / NMDA受容体 / MK-801 / トリブチルスズ / トリフェニルスズ |
Research Abstract |
研究目的 有機スズ化合物の神経毒性を検討するために、マウス脳内N-メチル-Dアスパルテート(NMDA)受容体に及ぼす影響をin vitroで、リガンド-受容体結合実験法に基づいて置換曲線を作成し調べた。方法 塩化トリメチルスズ(TMTC)、塩化トリフェニルスズ(TPTC)、塩化トリブチルスズ(TBTC)、塩化トリプロピルスズ(TProTC)、水素化トリオクチルスズ(TOTH)、水素化トリブチルスズ(TBTH)の計6種類を使用した。対照マウス(BALB/cの雄5週齢)の大脳と中脳を摘出し、各マウスから得られた試料は一括して使用した。リガンド・受容体結合実験は常法に従った。非競合的拮抗剤の[^3H]MK-801をリガンドとして使用した。結果と考察 1、置換曲線によると、TMTC、TProTC、TBTC、TPTCでは100nM以上の濃度で抑制が認められ、TProTCはED50値が約60-130μMと抑制が最も顕著であった。2、TBTHとTOTHは抑制よりはむしろ亢進に作用する傾向にあった。3、TBTCとTBTHは[^3H]MK-801の受容体結合に対してそれぞれ抑制と亢進の作用を示し、塩化物と水素化物では明らかに異なる。まとめ 1、有機スズ化合物の形体によってNMDA受容体に対する作用が異なる。2、受容体に対する影響はTProTC≧TBTC>TMTC≧TPTCの順に強いが、大脳と中脳での組織による差は小さい。3、NMDA受容体は行動や記憶に関与することが知られており、今回検討した化合物でもin vivo曝露において行動等に影響を与える可能性があり、特にTProTCのマウスに対する投与実験などが次の課題として考えられる。
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Research Products
(1 results)