2001 Fiscal Year Annual Research Report
自殺高率地域住民を対象とした戦略的な地域参加型自殺予防対策の有用性に関する研究
Project/Area Number |
13670352
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
本橋 豊 秋田大学, 医学部, 教授 (10174351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 久長 秋田大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70205855)
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Keywords | 自殺予防 / 地域住民 / 地域参加型 / うつ / 社会支援 / 地理情報システム |
Research Abstract |
自殺高率地域である秋田県合川町と中仙町の65歳以上の高齢者を対象に、精神的健康状態の評価を含む包括的な質問紙調査を実施した。合川町の調査では2377名、中仙町では2800名の高齢者から回答が得られた。質問紙の内容は基本属性の他、Zungの抑うつ尺度、家族支援、社会的支援、ストレス対処行動、自殺に対する意識、医療資源へのアクセス度などであった。一般的な統計解析の他、地理情報システムを用いた地域診断も行った。Zungの抑うつ尺度得点の平均値は合川町39.97点、中仙町41.00点であった。また、抑うつ尺度得点が60点以上の者の割合は合川町0.7%、中仙町1.9%であった。このように、同じ県内でも町村別に見ると、抑うつ得点に差が認められた。抑うつ得点が高い者では社会的支援が低い傾向が強く、ストレス対処行動で対処方法の選択肢が少ない傾向が認められた。地理情報システムを用いて合川町の中での地区ごとで抑うつ得点高値の者の割合(抑うつ得点50点以上の者)を分析した。その結果、地区ごとのうつ的症状の有症率には差違が認められ、しかもその有症率は高齢者世帯割合の分布と相関を認めた。地理情報システムを用いた小地区ごとの地域診断手法は自殺予防対策の実施の優先順位を決定するのに役立つものと考えられた。合川町においては、このようなデータをもとに、ヘルスプロモーションの考え方にもとづくヘルスコミュニケーションプログラムを立案し実施した。具体的にはメンタルヘルスサポーター育成事業とヘルスコミュニケーションの積極的推進である。このような地域における積極的な自殺予防介入有用であるかどうか、次年度検証する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 本橋豊, 佐々木久長: "地理情報システムを利用した地域診断に基づく自殺予防対策に関する研究"日本衛生学雑誌. (印刷中). (2002)
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[Publications] 佐々木久長, 本橋豊: "自殺高率地域住民の抑うつ度とストレス対処行動の特徴について"日本公衆衛生雑誌. 48・10. 729 (2001)
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[Publications] 本橋豊, 前田明: "閉じこもり高齢者の行動量リズムの定量的評価に関する研究"日本公衆衛生雑誌. 48・10. 669 (2001)
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[Publications] 佐々木久長, 本橋豊: "秋田県における高齢者の自殺リスク要因とストレス対処方法に関する研究"日本公衆衛生雑誌. 47・10. 645 (2000)
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[Publications] Yuasa T, Motohashi Y, et al.: "Quantitative EEG data and comprehensive ADL evaluation of stroke survivors residing in the community"Journal of Physiological Anthropology. 19. 37-41 (2001)
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[Publications] Motohashi Y et al.: "Circadian rhythm abnormalities of wrist activity of institutionalized dependent elderly persons with dementia"Journal of Gerontology Medical Sciences. 55A. M470-M473 (2000)
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[Publications] 本橋豊(分担執筆): "社会医学事典:(ヘルスコミュニケーション)"朝倉書店(印刷中). (2002)