2002 Fiscal Year Annual Research Report
自殺高率地域住民を対象とした戦略的な地域参加型自殺予防対策の有用性に関する研究
Project/Area Number |
13670352
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
本橋 豊 秋田大学, 医学部, 教授 (10174351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 久長 秋田大学, 医学部, 助教授 (70205855)
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Keywords | 自殺予防 / 地域参加 / 抑うつ / 地理情報システム / 保健活動 / 有用性 |
Research Abstract |
自殺高率地域である秋田県東由利町町の30歳以上の高齢者を対象に、精神的健康状態の評価を含む包括的な質問紙調査を実施した。質問紙の内容は基本属性の他、Zungの抑うつ尺度、家族支援、社会的支援、ストレス対処行動、自殺に対する意識、医療資源へのアクセス度などであった。一般的な統計解析の他、地理情報システムを用いた地域診断も行った。Zungの抑うつ尺度得点の平均値40.01点であった。また、抑うつ尺度得点が50点以上の者の割合は30〜59歳で20.7%、60歳以上で11.1%であった。中年者の抑うつ得点が高齢者よりも有意に高く、社会経済的要因の影響が示唆された。地理情報システムを用いた解析では地区差が認められ、地区ごとの保健活動の重要性が認められた。つぎに、前年度までの地域参加型自殺予防対策の介入結果の評価を行った。中仙町で行ったインデプスインタビューの結果、自殺予防対策担当者がエンパワメントされ、住民の「自殺」に対する受容に変化が認められた。藤里町では、民間ボランティアの活動支援と地区ごとの出前研修会を夜間に行うという啓発活動により、中年者への健康教育への参加が促進された。二つの町では自殺予防のアウトカム変数への影響は認められなかったが、地域参加型自殺予防対策の介入効果はあったと評価できた。 最後に、欧米と我が国の自殺予防対策の国際比較を行った。フィンランドは最も早く自殺予防に取り組んだ国で、数値目標を設定し、一次予防・二次予防を含む包括的プログラムを実施し、自殺率を減少させた。これらの取り組みから政策パッケージとしての自殺予防対策が抽出された。これと秋田県の自殺予防対策を比較したところ、自殺未遂者に対する対策、精神科救急医療システムの整備についての言及が不足していた。 研究全体を総括すると、包括的な地域参加型自殺予防対策は有用であるとの結論が得られた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Motohashi Y.: "Evidence-based Health Policy for Suicide Prevention in Japan"Abstract Book of International Conference of risk management for preventive medicine. PN8-4 (2003)
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[Publications] 本橋豊 他3名: "地域診断にもとづく自殺防止対策に関する研究-うつ病のリスク要因の評価"日本公衆衛生雑誌. 49・10. 805 (2002)
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[Publications] 金子善博, 本橋豊 他3名: "農村部におけるうつ病のリスク要因の地理的な偏り"日本公衆衛生雑誌. 49・10. 529 (2002)
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[Publications] 佐々木久長, 本橋豊 他2名: "自殺高率地域の自殺思慮に影響を与える要因の分析"日本公衆衛生雑誌. 49・10. 526 (2002)
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[Publications] 阿原美生, 本橋豊 他 3名: "地域診断にもとづく自殺予防対策に関する研究-うつ病尺度得点と家庭内ストレス要因"日本公衆衛生雑誌. 49・10. 528 (2002)
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[Publications] 本橋豊, 佐々木久長: "地理情報システムを利用した地域診断にもとづく自殺予防対策に関する研究"日本衛生学雑誌. 57・1. 454 (2002)
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[Publications] 高野健人編(本橋豊分担執筆): "社会医学事典:ヘルスコミュニケーション"朝倉書店. 410 (2002)