2001 Fiscal Year Annual Research Report
ADHD・学習障害を含む配慮を必要とする子どもたちの診断と指導方法に関する研究
Project/Area Number |
13670364
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
小野 次朗 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20214182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江田 裕介 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (00304171)
橘 秀彌 和歌山大学, 教育学部, 教授 (30066419)
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Keywords | 特別支援教育 / 学習障害 / 注意欠陥多動性障害 / アメリカ / 教育センター / DSM-IV |
Research Abstract |
1.K市にある小学校9校および中学校6校の担任教師159名にアンケート調査を行った。DSM-IVに従って、担任している児童生徒がADHDを有しているか否かを質問した。小学校においてADHDが疑われる児童数は、2014名中62名(3.1%)、性別では男児55名、女児7名であった。一方、ADHDと診断され治療を受けていたのは5名に過ぎなかった。中学校においてADHDが疑われる生徒数は、1253名中30名(2.4%)、性別では男児22名、女児8名であった。ADHDと診断され治療を受けていた生徒はいなかった。今回の検討から、診断を受けている児童生徒数は、全体の0.2%であったが、教師が診断基準に当てはめてADHDを疑った児童生徒は全体の2.7%であり、一般に考えられているADHDの出現率に近い値となった。また男女比も男児が圧倒的に多いこと、そして年齢が長ずると多動性-衝動性優勢型が減少することなど、ADHDの一般の記述に合致するため、今回のような調査でも実数把握が可能であることが示唆された。 2.指導にあたり、児童生徒がADHDを有する可能性を保護者に説明し納得してもらうことから始まるが、実際には十分な知識を持たないため、適切な話し合いがされていない。指導の前に教師が正確な情報を得ることが重要であり、教師への啓発方法の検討が、今後の課題になると考えられた。 3.米国オハイオ州の公立中学校を視察し、学習障害(LD)やADHD児童に対して、リソースルームを利用した細かい配慮が施された教育を観察した。地域の教育センターには、LDやADHDの児童を受け持つ教師に対して指導方法を教える講師が常駐し、毎日何らかの講座が開かれ、担任教師が熱心に講義を受けていた。これらの教育システムは、日本に適した形で導入されると、教育場面で効果を発揮するものと期待された。
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Research Products
(2 results)