2002 Fiscal Year Annual Research Report
ADHD・学習障害を含む配慮を必要とする子どもたちの診断と指導方法に関する研究
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13670364
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
小野 次朗 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20214182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江田 裕介 和歌山大学, 教育学部, 教授 (00304171)
橘 英彌 和歌山大学, 教育学部, 教授 (30066419)
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Keywords | 特別支援教育 / 学習障害 / 注意欠陥多動性障害 / 高機能自閉症 / アメリカ / 小学校 |
Research Abstract |
1.Y市にある小学校の担任教師を対象にアンケート調査を行い、通常学級に在籍する児童の中で、軽度障害が疑われる児童について検討を行った。平成14年度、文部科学省が行った軽度障害児童に関するアンケート調査にならい、同じ質問項目を用いたアンケートを行った。文部科学省の調査では、全体で6.3%の児童に軽度障害が疑われた。今回の調査では、対象児童1,201名のうち、軽度障害が疑われた児童は5.6%であった。5.6%の児童のうち、学習障害(LD),注意欠陥多動性障害(ADHD),高機能自閉症(HFPDD)が疑われる児童の割合は、それぞれ4.3%、2.6%、1.0%であった。このうち合併例は、LDとADHDが1.2%、LDとHFPDDが0.3%、ADHDとHFPDDが0.2%、三者の合併は0.3%であった。異なる特徴を有する軽度障害児が学級内に複数在籍する可能性も考えられ、通常学級における特別支援教育の重要性が示唆された。 2.Y市にある小学校教諭に対して、軽度障害に関する意識調査をアンケート方式で行った。ADHDおよびHFPDDに関しては知識を問う問題を、LDに関しては定義の捉え方を問う問題を質問した。ADHDに関しては正しい知識の獲得はまだ不十分であった。HFPDDに関しては正しい認識はほとんどもたれていなかった。LDの定義については、文部科学省の定義と一致したものが101人中わずか6人であり、64種類の回答が得られたことから、LDの定義に混乱が生じていることが示唆された。 3.米国で行われた特別支援教育に対する行動分析学会に参加した。指導もさることながら、客観的評価を行っていく姿勢が強く認められた。HFPDDの児童に対して、いわゆるメインストリーミングを中心に授業を公正して行こうとする試みが私立学校で行われており、今後日本でも取り入れることができる方法であると考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 中嶌 淳子, 小野 次朗: "ADHDの認識と通常学級における在籍の可能性について-誤解の前に理解を-"和歌山大学教育学部紀要(教育科学). 第53巻. 39-48 (2003)
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[Publications] Jiro Ono et al.: "Decreased frequency of seizures in infantile spasms associated with lissencephaly by human herpes virus 7 infection"Pedatric International. Vol.44. 168-170 (2002)
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[Publications] 小野 次朗: "特殊教育(特別支援教育)に関わる教員の専門性-医学的側面から-"養護学校の教育と展望. 第126号. 10-15 (2002)
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[Publications] D'Agostino, Ono J et al.: "Subcortical band heterotopia (SBH) in males : clinical, imaging and genetic findings incomparison with females"Brain. Vol.125. 2507-2522 (2002)
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[Publications] 小野次朗, 榊原洋一編集: "教育現場における障害理解マニュアル"朱鷺書房. 251 (2002)