2003 Fiscal Year Annual Research Report
居住環境における微量化学物質の生物学的モニタリング
Project/Area Number |
13670365
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉良 尚平 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50033212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 明彦 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20314685)
田口 豊郁 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (30197248)
片岡 洋行 就実大学, 薬学部, 教授 (80127555)
汪 達紘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90294404)
山本 秀樹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (50243457)
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Keywords | 生物学的モニタリング / 揮発性有機化合物 / 尿中代謝物 / キシレン / スチレン / ガスクロマトグラフ質量分析計 |
Research Abstract |
研究目的 新築建造物内に居住・就労する人々に様々な健康障害が発生する「シックハウス症候群」が問題となっている。今年度はトルエン、キシレン、スチレン等芳香族の揮発性有機化合物(VOC)の尿中代謝物を対象として、GC/MSによる微量定量法を検討した。 実験方法 測定対象とした尿中代謝物は、馬尿酸(HA):トルエン、o-,m-,p-メチル馬尿酸.(o-,m-,p-MHA):キシレン・マンデル酸(MA)およびフェニルグリオキシル酸(PGA):スチレンとした。試料尿に内部標準(I.S.)としてベンゾイルロイシンを添加し、酸性条件下でジエチルエーテルで抽出した溶媒留去後、塩酸-メタノール法でメチルエステル誘導体化を行い、ペンタンで抽出・溶媒留去した。その残渣を酢酸エチルに溶解し、DB-1キャピラリーカラム付きGC/MSを用いて、カラム温度150℃から250℃まで10℃/minで昇温分析した。SIMモード分析は、m/z=105(HA)、m/z=119(MHA)、m/z=107(MA)、m/z=105(PGA)を選択した。また気中濃度との対応を検討するために、新築建物の室内空気中のVOCは厚生労働省の標準的方法で測定した。すなわちアクティブ法により活性炭チューブエアーサンプラーを用いて捕集し、二硫化炭素で溶出してGC/MS法で分離定量する方法である。 結果と考察 GC/MS法により、尿中代謝物6種及びI. S.は良好なピークとして分離溶出した。SIMモードでの検出限界は注入量として40〜450pgであり、検量線は良好な直線性を示した。次にトルエン、キシレン、スチレンなどのVOCが高濃度に検出された新築建物に就労する人の尿中から、HA、MHA、MA、PGAの全てが検出された。HAは食事に由来する量も多く微量のトルエン曝露の指標とはなり得ないが、低濃度のキシレン及びスチレンの曝露評価は可能となる。気中濃度と対応尿中代謝物濃度との関連は今後の検討課題である。 まとめ 今回開発したGC/MS法は高感度であり、動物およびヒトにおける室内VOCに対する生物学的曝露モニタリングとしての有効性が確認できた。
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Research Products
(2 results)