2001 Fiscal Year Annual Research Report
マーシャル諸島住民の放射線被曝量の再構築―過小評価されてきた内部被曝量の個別推定
Project/Area Number |
13670373
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 達也 山形大学, 医学部, 助教授 (50304928)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深尾 彰 山形大学, 医学部, 教授 (80156736)
藤盛 啓成 東北大学, 医学部, 助教授 (50238622)
山下 俊一 長崎大学, 医学部, 教授 (30200679)
|
Keywords | マーシャル諸島 / 甲状腺癌 / 放射線被曝 / 被曝線量推定 / 量反応関係 |
Research Abstract |
マーシャル諸島全国甲状腺疾病研究(The Marshall Islands Nationwide Thyroid Disease Study)は、マーシャル諸島共和国政府の委託を受けて、先行して同国全土の放射線汚染の状態を調査していた、マーシャル諸島全国放射線研究(The Nationwide Radiological Study)を拡張する形で企画された。甲状腺疾病研究は、ビキニ環礁とその隣のエニウエトック環礁で核兵器実験の行われた、1946年から1958年までの間に生まれた、あるいは、すでに生まれて生活していたマーシャル人すべてを検査して、甲状腺疾病、特に甲状腺癌について放射線被曝との関連を明らかにすることを意図していた。 1993年から1997年まで、本研究によって、現地で医学的・疫学調査が行われた。具体的には、甲状腺疾患に対する臨床理学的検査、超音波検査、穿刺吸引細胞診、癌が疑われる症例に対する外科手術、及び外科手術標本に対する病理組織学的検討が実施された。また、甲状腺機能検査として、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモン(T3、T4)、及び抗甲状腺自己抗体が測定された。さらに、随時尿のヨード排泄量も測定された。 マーシャル諸島全体での、一般住民の甲状腺結節や甲状腺癌の発生頻度は、高いことが示唆された。しかし、我々は、ハミルトン博士の仮説、すなわち、「甲状腺結節の頻度は、ブラボー実験の時に住んでいた場所とビキニ環礁からの距離に反比例する(ビキニから遠くなると、結節は減る)」を確認できなかった。この点に関して、ブラボー実験で被曝した住民における甲状腺癌の頻度に関する予備的な分析では、概算した甲状腺放射線被曝量と甲状腺癌有病率は正の相関(被曝量が増えると甲状腺癌も増える)が有意に示された。 現在、新たに適切な放射線被曝量を検討中である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Arisawa et al.: "Evaluation of Adult T-cell Leukemia/Lymphoma Incidence and Its Impact on Non-Hodgkin Lymphoma Incidence in Southwestern Japan"Int.J.Cancer. 85. 315-324 (2000)
-
[Publications] Tatsuya Takahashi et al.: "Thyroid Disease in the Marshall Islands-Findings from 10 Years of Study"Tohoku University Press. 136 (2002)