2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨量骨折及び骨量減少の予防に関する長期前向き研究-一般住民を対象とした栄養、運動、環境、遺伝要因の検討-
Project/Area Number |
13670383
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Research Institution | WAKAYAMA MEDICAL UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
吉村 典子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60240355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 清美 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (50225794)
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Keywords | コホート研究 / 骨粗鬆症 / 骨密度 / 疫学 / Fast bone loser |
Research Abstract |
申請者らは、和歌山県一山村において1989年に40-79歳からなる全住民を対象としてコホートを設定し、既往歴、食生活、運動習慣、飲酒喫煙状況など130項目からなるベースライン調査をおこない、総合的健康管理を行ってきた。その後、この集団から40-70歳代の男女各年代50人、計400人をランダムに選び、骨粗鬆症予防検診としてDual energy X-ray absorptiometry (DXA;Lunar DPX)を用いて腰椎L2-4、大腿骨近位部(大腿骨頚部、Ward三角、大転子)の骨密度を測定し、その後3、7、10年目に再度骨密度を測定した。初回調査時における対象400人のうち、3年後の調査にも参加したのは360人(男性171人、女性189人)であった。そのうち腰椎L2-4骨密度の低下率が大きいものから1/3をfast bone loserとしたところ、fast群のカットオフポイントは男性では平均-1.8%/年、女性では-2.7%/年であった。腰椎L2-4骨密度のfast群の初回調査時の平均年齢は、男性で61.8歳であり、normal群の57.0歳よりも有意に高かった(P<0.01)。一方女性ではfast群59.2歳、normal群58.8歳と両群で差異はみられなかった。身体測定値を見ると、男女とも身長には両群で差は見られないが、体重はfast群の方が有意に低かった(P<0.05)。この2群において骨密度変化率を比較してみると、まず男性の3-7年後における腰椎骨密度変化率はfast群では0.67%/yrとなり、正常群の0.32%/yrと比べむしろ増加していた(P=0.14).7-10年後の骨密度変化率はfast群0.13%/yr、正常群0.09%/yrとなり、両群の間で差は見られなかった(P=0.90)。大腿骨頚部でもその後の骨密度変化率は正常群と差異を認めなかった。女性においては3-7年後における腰椎骨密度変化率はfast群では-0.18%/yrとなり、正常群の-0.71%/yrと比べ低下率の鈍化が見られた(P=0.06)。7-10年後の骨密度変化率はfast群-0.65%/yr、正常群-0.87%/yrとなり、両群の間で差は見られなかった(P=0.57)。大腿骨頚部では3-7年後の骨密度はむしろfast群で増加しており(P<0.001)、7-10年後では両群に差を認めなかった(P=0.48)。次にこの二群において骨密度そのものの推移を比較すると、男性では、7年後の腰椎骨密度はfast群1.01g/cm2、正常群1.17g/cm2となり、fast群の方が有意に低かった(P<0.001)。10年後の腰椎骨密度はfast群1.01g/cm2、正常群1.17g/cm2となり、ここでもfast群の方が低かった(P<0.001)。女性では、7年後の腰椎骨密度はfast群0.84g/cm2、正常群0.95g/cm2(P<0.01)、10年後はfast群0.83g/cm2、正常群0.95g/cm2となり(P<0.001)、ここでもfast群の方が有意に低かった。この差は年齢、初回骨密度を調整した後も認められた。一方大腿骨頚部の骨密度は、年齢及び初回骨密度を調整すると男女ともfast群、正常群に差は見られなくなった。即ち、男女ともfast bone loserにおいては骨量の低下速度はいずれ鈍化するが、腰椎の骨量は正常群に比べて低いまま持続することがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshimura N, Kinoshita H, Danjoh S, Takijiri T, Morioka S, Kasamatsu T, Sakata K, Hashimoto T: "Bone loss at the lumbar spine and the proximal femur in a rural Japanese community,1990-2000:The Miyama study"Osteoporos Int. 13. 803-808 (2002)
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[Publications] Yoshimura N, Takijiri T, Kinoshita H, Danjoh S, Kasamatsu T, Morloka S, Sakata K, Hashimoto T: "Characteristics and course of bone mineral densities among fast bone losers in a rural Japanese community : The Miyama study."Osteoporos Int. 15. 139-144 (2004)