Research Abstract |
本年度は,若年発症1型糖尿病,その健常同胞,および2型糖尿病患者について健康関連QOL調査を行った.さらに若年発症1型糖尿病患者の健康関連QOLと発症年齢との関連を検討したので以下に報告する. 1型糖尿病患者40名(男/女14/26,現在年齢34.0±5.1歳,発症年齢18.4±8.3歳)を対象に,質問票PAID(Problem areas in diabetes)SF36(Short-Form36)による調査を,文書による同意を得た上で郵送法にて行った.発症年齢がQOLに及ぼす影響を評価するために,対象を発症年齢18歳未満(若年群)と18歳以上(青年群)の2群に分け,各スコアを2群間で比較した.(Wilcoxon順位和検定)さらに他の交絡因子を調整するために,PAIDスコアとSF36スコアを目的変数として重回帰分析を行った.解析にはSTATA5.0を使用した.その結果,若年群及び青年群のPAIDスコアは40.5±18.1,59.6±11.9と若年群のQOLが有意に良好であった.同様に若年群及び青年群のSF36スコアは80.8±10.6,72.8±12.5と若年群のQOLが良好であった.さらに,QOL尺度への発症年齢の独立した影響を評価するために,説明変数として現在年齢,HbA1c,低血糖回数,合併症の程度,自己血糖測定回数を加え,ステップワイズ法を用いて重回帰分析を行ったところ,PAIDには,発症年齢,現在年齢,網膜症が関連し,SF36には,発症年齢,現在年齢,神経障害が関連していた.このことより1型糖尿病患者のQOLは,発症年齢が高いほど不良となり.特に青年期18歳以上に発症した患者は,様々な社会・医学的背景が要因で,小児・思春期発症の患者と比較し,QOLが低下することが本研究で示唆された. 次年度は,さらに対照症例数を増やし,対照群についても調査を進める予定である.
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