Research Abstract |
平成13年7月にA県N村の65歳以上の全住民1383名を対象とした基本健康診査を受診した1051名に本研究への参加を募った.本研究の説明の上,参加に同意した1036名について,基本健康診査項目に加え血清アルブミンおよび体脂肪率を測定し,既往歴,現病歴,服薬状況,食品摂取頻度,老研式活動能力指標,飲酒・喫煙状況,労働状況,運動習慣等に関する聞き取りを行った.内部および外部精度管理を実施している検査機関にて随時静脈血の血清総コレステロール(TC)およびHDLコレステロール(HDL)を測定した.血清コレステロールとその他の健康指標および聞き取り項目との関連を,一般線形モデルおよび多重ロジスティックモデルを用いて検討した.TCは性別に四分位で群別化し(男:<154,154〜173,174〜193,194mg/dL≦,女:く181,182〜199,200〜219,220mg/dL≦)検討した.年齢は,'男女ともTCとは負の相関(男r=-.085,女r=-.117)を示したが,HDLとは関連しなかった.収縮期血圧,拡張期血圧,BMI,Hb_<AlC>,体脂肪率,血色素量,白血球数,血清アルブミン,中性脂肪,HDL,牛乳摂取頻度は,年齢を調整した後でもTCと有意な正相関を認めた,男性のTC<154mg/dL群の糖尿病既往は有意に少なかった(1.0vs7.5%)が,尿潜血陽性は有意に多かった(21.8vs8.0%).女性では,TC<200mg/dL群の心疾患の既往が有意に高かった(21.5vs13.2%).TCと老研式活動能力指標得点の間には有意な関連を認めなかった.TCと既知の総死亡の危険因子との間に密接な関連が認められたため,今後これらの因果関係を検討するとともに,余命および活動的余命とTCとの関連を検討する際にはこれらの既知の関連要因を調整する必要があることが明らかとなった.
|