2004 Fiscal Year Annual Research Report
在宅高齢者におけるうつ状態の危険因子に関する疫学的研究
Project/Area Number |
13670411
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Research Institution | Obirin University |
Principal Investigator |
新野 直明 桜美林大学, 大学院, 教授 (40201686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下方 浩史 国立長寿医療センター, 研究所・疫学研究部, 部長 (10226269)
安藤 富士子 国立長寿医療センター, 研究所・疫学研究部, 室長 (90333393)
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Keywords | 高齢者 / うつ状態 / 危険因子 / 在宅 / GDS / 心理的要因 / 身体的的要因 / 縦断的研究 |
Research Abstract |
国立長寿医療センター研究所疫学研究部の主催する「老化に関する長期縦断疫学調査(NILS-LSA)」のデータを利用して、心理的および身体的なうつ状態の危険要因に関する学際的、縦断的研究を継続実施した。 対象は、NILS-LSA参加者(愛知県大府市、東浦町の40歳〜79歳の地域住民から性年齢別に層化無作為抽出された人で、調査への同意が得られた人)の中で第1回調査と約2年後の第2回調査の両方に参加した60歳以上(第1回調査時)の人で、以下の項目全てに有効な解答をした824名(男性442名、女性382名)である。分析に利用した項目は、高齢者におけるうつの危険要因に関する既存の研究を参考に、第1回調査のうつ状態(Geriatric Depression Scale : GDSにより評価。6点以上がうつ状態あり)、転倒恐怖感、年齢(60-69歳:前期高齢者、70歳以上:後期高齢者)、性別、主観的健康感、活動能力(老研式活動能力指標:11点以上が高)と第2回調査のうつ状態(GDS:6点以上がうつ状態あり)で、各変数を有無、高低などで2群に分けた。そして、第2回調査のうつ状態を目的変数、第1回調査の各項目を説明変数とする多重ロジスティック回帰分析をおこない、将来のうつ状態有無を予測する独立した要因を検討した。 その結果、第2回のうつ状態有無と有意に関係した要因は、第1回目のうつ状態と主観的健康感であり(p<0.05)、うつ状態がある場合、および、自分の健康が不良と感じている場合、2年後にうつ状態にある危険性が有意に高かった。うつ状態の既往と主観的な健康が不良であることは、将来のうつ状態の独立した危険要因となる可能性が示された。
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