2001 Fiscal Year Annual Research Report
パラコート中毒における中枢毒性発現機序に関する研究
Project/Area Number |
13670415
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
清水 恵子 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90312462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 和夫 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20127533)
塩野 寛 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20112451)
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Keywords | 環境毒 / 農薬 / パラコート / 神経変性疾患 / 神経興奮毒性 / パーキンソン病 / 線条体 |
Research Abstract |
環境毒としてのパラコート(PQ)の長期暴露と中枢神経変性障害、特に黒質線条体ドパミン(DA)神経に対する毒性機序を解明するために、以下の検討を行った。 1ブレインマイクロダイアリシス法によるPQの血液脳関門(BBB)の透過性 (1)マイクロダイアリシス法の妥当性(手術手技によるBBB破壊修復):BBB透過性を持たないMPP+を全身性に投与したところ、脳細胞外液から検出されなかったことから、手技の妥当性が証明された。 (2)PQのBBB透過性:全身投与後、PQは脳細胞外液に検出されたことから、BBB透過性が証明された。 (3)PQのBBB透過性の機能への直接的影響の検討:PQ投与後に、更に投与したMPP+が脳細胞外液から検出されないことから、PQの透過性はPQによるBBBの機能不全によるものではないことが示された。 (4)PQのBBB透過性に関与する能動輸送系の同定:化学構造上、受動拡散による透過は考えにくく、能動輸送系としてアミノ酸トランズポーターを想定し、各種アミノ酸を全身投与しトランスポーターを飽和させた後PQを投与したところ、中性アミノ酸トランズポーターの関与が明らかとなった。 (5)PQの脳における神経細胞への取り込みの検討:線条体に投与したPQはNa+依存的に細胞に取り込まれ、一部DAトランスポーターを介することが明らかとなった。 2PQの神経毒性の検討 (1)PQ投与による脳細胞外液中グルタミン酸(Glu)濃度の変化:線条体に投与したPQは、Na+依存的に脳細胞外液Glu濃度を上昇させた。 (2)用量依存性とGlu放出機構:PQによるGlu放出は用量依存性であるが、一過性であった。 この直後から、細胞外NOxの上昇が観察された。 (3)脳内DA神経伝達物質の変化:Glu上昇後、24時間以上続く軽度な細胞外DA放出増加が認められた。PQ慢性全身投与において、中脳・線条体・皮質のDA及び酸性代謝物の減少が認められた。
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Research Products
(1 results)