2001 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息におけるペプチドロイコトリエンの役割の検討―受容体の細胞間分布、機能および遺伝子多型について
Project/Area Number |
13670447
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森田 寛 お茶の水女子大学, 保健管理センター, 教授 (60107620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越野 健 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10282659)
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Keywords | ペプチドロイコトリエン / 好酸球 |
Research Abstract |
CysLTsには血管透過性亢進作用、平滑筋収縮作用、気道粘液分泌亢進作用などがあることはすでに明らかであるが、CysLTには好酸球を浸潤させる作用があると想定されるものの好酸球への直接作用については不明である。そこで我々はこの点を明らかにしようと考えた。 我々は、好酸球上のCysLT_1受容体の発現およびCysLTの好酸球に及ぼす直接作用を明らかにするという目的のもとに実験を行った。好酸球上のCysLT_1受容体発現についてCD16マグネットビーズによるネガティブセレクションにて得られた純度99%以上の好酸球を用いて実験を行った。 RT-PCR法により好酸球上にCysLT_1受容体のメッセージが存在することが、また、フローサイトメトリーによりタンパクレベルでの発現が証明された。次いで、トリチウムラベルしたLTD_4を用いた結合実験により、好酸球に対してLTD_4の特異的な結合が認められた。 CysLTsによる好酸球活性化について、まずCa流入反応を調べたところ、CysLTsは濃度依存的にCa流入反応を起こした。その活性はLTD_4、LTC_4、LTE_4の順であった。Ca流入反応はCysLT_1受容体拮抗薬であるpranlukastにより濃度依存的に抑制された。また、この反応はpertussis toxin(PTX)処理により90%近く抑制されたのでGiタンパクを介していることがわかった。 次に、CysLTsによる好酸球の遊走を検討した。ボイデンチェンバーを用い、遊走した好酸球のEPOレベルから好酸球遊走を測定した。LTD_4、LTE_4により有意に好酸球が遊走することがわかった。遊走活性はLTD_410^<-6>Mにおいて最も強力であった。この反応はpranlukastによって有意に抑制された。 次に、CysLTsによる脱顆粒実験を行った。好酸球の脱顆粒をeosinophil-derived neurotoxin(EDN)の遊離を指標として調べた。C5aではEDNの遊離作用がみられたがLTD_4には好酸球に対するEDN遊離能は認められなかった。 IL5は好酸球を脱顆粒させるが、好酸球をLTD_4の存在下で1時間インキュベートした後に、IL5にて更に刺激すると、脱顆粒が増強された。この作用はpranlukastにより解除されたので、このLTD_4のプライミング作用もCysLT_1受容体を介していることが明らかとなった。
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