2002 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルギルス毒素"グリオトキシン"による好中球活性酸素生成機構の阻害
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13670487
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
綱脇 祥子 国立成育医療センター, 母児感染研究部, 室長 (00211384)
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Keywords | 活性酸素 / 活性酸素生成酵素 / NADPH oxidase / 慢性肉芽腫症(CGD) / グリオトキシン / アスペルギルス侵襲性 |
Research Abstract |
好中球が生成する活性酸素(O_2^-、H_2O_2)は、自然免疫の中核をなし感染防御に大きく貢献している。先天的に活性酸素生成能を欠く慢性肉芽腫症(CGD)患者は、アスペルギルス反復感染に陥り致死的である。一方、免疫能の低下した患者では、重篤な感染症としてアスペルギルス症が問題になっているが、その侵襲性に関しては実体が明らかでない。本研究では、アスペルギルス侵襲性の理解を目的として、好中球活性酸素生成酵素(NADPH oxidase)に対するアスペルギルス病原因子の影響を検討した。各病原因子をスクリーニングした結果、グリオトキシンのみが高いO_2^-生成阻害活性を示した。通常、NADPH oxidaseの構成因子は、細胞膜(cyt.b558:gp91-P22複合体)とサイトゾル(p67,p47,p40,Rac2)に分配されて不活性型である。しかし、病原体を認知するとサイトゾル因子がcyt.b558上で集合体を形成してNADPH oxidaseは活性化され、O_2^-を生成し、殺菌に用いられる。この活性化にはp47のリン酸化が中心的な役割を担っている。つまり、p47は、リン酸化後、細胞骨格系と会合しているp67に取り込まれてcyt.b558上へ移行し、活性型NADPH oxidaseを構築する。グリオトキシンはこれら一連のステップを阻害した。最後に、グリオトキシンは、極低濃度で好中球の抗アスペルギルス活性を阻害した。CGD患者がアスペルギルス感染のハイリスク患者であることから、好中球の生成する活性酸素がその抗アスペルギルス活性にとって必須であることが示唆されていた。本研究では、アスペルギルスが、病原因子グリオトキシンを用いて防御側である好中球のNADPH oxidaseを阻害してその攻撃から逃れ、侵襲性を発揮することが明らかになった。そして、p47のリン酸化阻害が標的である可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Mott, J.: "Effects of Anaplasma phagocytophila on NADPH oxidase components in human neutrophils and HL-60 cells"Infect. Immun.. 70. 1359-1366 (2002)
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[Publications] Shimizu, T.: "GM-CSF induces expression of gp91 and stimulates retinoic acid-induced p47 expression in human myeloblastic leukemia cells"Eur. J. Haematol.. 68. 382-388 (2002)
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[Publications] Yoshida, L.: "Expression of a p67phox homolog in Caco-2 cells giving O_2^--reconstituting ability to cytochrome b558 together with recombinant p47^<phox>"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 296. 1322-1328 (2002)
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[Publications] Kuribayashi, F.: "The adaptor protein p40^<phox> as a positive regulator of the superoxide-producing phagocyte oxidase"EMBOJ.. 21. 6312-6320 (2002)
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[Publications] 綱脇祥子: "アスペルギルス毒素グリオトキシンによる好中球の活性酸素生成阻害"臨床免疫. 37. 457-465 (2002)
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[Publications] 綱脇祥子: "細胞生物学実験法"廣川書店. 15 (2003)