2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリcag pathQgenicity islandの機能解析
Project/Area Number |
13670502
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
東 健 福井医科大学, 医学部, 助教授 (60221040)
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Keywords | H.pylori / cagA / pathogenicity island |
Research Abstract |
H.pyloriのゲノムには本来H.pyloriのものではない外来性の遺伝子群が存在し病原性との関連が考えられており、この遺伝子群をcagPAIと呼んでいる。最近我々は、H.pyloriが胃粘膜上皮細胞に接着すると、cagPAI内に存在するtypeIV分泌機構がH.pyloriの細胞膜から上皮細胞膜へ針をさすように突き刺さり、その内腔を通してCagAがH.pyloriから胃粘膜上皮細胞内へと注入され、上皮内でチロシンリン酸化を受け、ヒト上皮細胞のシグナル伝達系を刺激することを認め、cagPAIが病原因子として重要な遺伝子群であることを報告した。本研究ではcagPAI内の全塩基配列を日本の胃癌株と十二指腸潰瘍株で解読し、胃癌発症に関与する遺伝子を解析した。さらに、臨床分離株及びcagPAI内遺伝子変異株を用い、細胞増殖に関与する遺伝子を解析した。 方法:福井の胃癌由来株F32と、沖縄の十二指腸潰瘍由来株OK107のcagPAIの全塩基配列をPCR-direct sequenceにより決定した。F32とOK107のcagPAIの塩基配列を、既報のイギリスの胃炎由来26695株及びアメリカの十二指腸潰瘍由来J99株と比較した。一方、AGS細胞にcagPAI内遺伝子のノックアウト株を感染させることによりcagPAI内遺伝子の細胞増殖に及ぼす影響を検討した。結果:4つの株間のcagPAIの塩基配列は約95%の一致率を示し、各遺伝子の塩基配列は株間で保たれていたが、cagAのチロシンリン酸化部位とtypeIV分泌機構を形成するvirB10において繰り返し配列を認め、それぞれの株間で大きく異なっていた。cagA及びtypeIV分泌機構を形成するvirD4のノックアウト株感染は野生株感染に比し、AGS細胞の細胞増殖は有意に低下した。結論:菌体のCagAチロシンリン酸化とtypeIV分泌機構の違いが病態の差に関連することが示唆された。CagA及びtypeIV分泌機構は細胞増殖に作用することが認められた。
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Research Products
(1 results)