2001 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子受容体としての非アミド化ガストリン受容体の同定と解析
Project/Area Number |
13670510
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 光孝 京都大学, 医学研究科, 助手 (70235472)
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Keywords | ガストリン / アミド化ガストリン / 非アミド化ガストリン / 細胞増殖 |
Research Abstract |
ガストリンは、胃酸分泌刺激作用の他にも主細胞からのペプシン分泌促進、消化管の固有運動性への関与、さらには組織・細胞増殖促進作用があることも報告されている。事実、Zollinger-Ellison症候群におけるガストリンの過剰分泌は胃粘膜の過形成を引き起こし、逆に胃幽門前庭部の外科的切除は残胃粘膜の萎縮を引き起こす。現在まで、ガストリンC末端のアミド化は、ガストリンの十分な生物学的活性化には必須の翻訳後プロセッシングとされてきた。しかし、Zollinger-Ellison症候群や大腸癌においてアミド化ガストリンよりも非アミド化ガストリン(グリシン付加ガストリン)の発現が強い事実を考えると、非アミド化ガストリンは、アミド化ガストリンとは別の活性ペプチドホルモンとして作用している可能性が考えられる。 非アミド化ガストリンは、プロガストリンの第94、95番目の塩基性アミノ酸残基対が切断された後、C末端の塩基性残基が、除去されることにより形成される。更に非アミド化ガストリンは、peptidyl-glycin alpha-amidating monooxygenase (PAM)にC末端のアミド化を受けるとアミド化ガストリンヘと変換される。大腸癌細胞株LoVo、HT29、HCT116、Colo320DMを用いた増殖実験においてアミド化ガストリンはこれらの細胞には結合せず、増殖も促進しなかったが、非アミド化ガストリンは、LoVo、HT29に結合するとともに、[^3H]thymidineの取り込みを増加させることが分かった。さらに、この結合と[^3H]thymidineの取り込みは、アミド化ガストリンやCCKB受容体拮抗剤によって抑制されないことを報告した。以上の結果より、現在Yeast two-hybrid法を用いた非アミド化ガストリン受容体のクローニングを行うために、非アミド化ガストリンを用いた細胞増殖実験によりcDNAライブラリー作製の為の細胞としては、ヒト胃癌細胞株AGS細胞が最も増殖能が高いこと、その増殖能がガストリン/CCKB受容体拮抗剤(AG-041R)によって抑制されないことを確認した。現在、AGS細胞を用いたcDNAライブラリーの作製が終了し、酵母への同時形質転換にむけて準備中である
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