2001 Fiscal Year Annual Research Report
消化管における糖鎖関連酵素群の発現調節の検討とその代謝疾患への応用
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13670511
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 謹輔 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10180001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 浩一朗 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60281086)
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Keywords | αグルコシダーゼ / ボグリボース / マルターゼ / スクラーゼ / 小腸 / 食後血糖 |
Research Abstract |
目的 α-グルコシダーゼ阻害剤であるボグリボースは、食後過血糖是正のため臨床において汎用されている。この薬剤の小腸における直接的作用を検討するため、2型糖尿病モデルラットのGoto-Kakizaki (GK)ラットに長期投与を行った。 方法 (1)8週齢雄性GKラットを2群に分け、ボグリボース含有飼料(n=5)および非含有飼料(n=5)を6ヶ月間与えた。また8週齢雄性ウィスターラットに非含有飼料を与えコントロールとした(n=5)。投与1日、1週間、1ヶ月、3ヵ月、6ヵ月の各時点で以下の検討を行った。(2)食後血糖、血中インスリン値を測定した後、小腸を摘出して3等分し、マルターゼ、スクラーゼ、イソマルターゼ、トレハラーゼ、ラクターゼの活性を測定した。さらにスクラーゼ-イソマルターゼ複合体のmRNAおよびタンパク発現量、アルカリフォスファターゼ活性を測定した。(3)6ヶ月間ボグリボースを投与したGKラットに対し1ヶ月間投与を中止し、その後一日だけ再投与を行った。これに対し(2)と同様の検討を行い、休薬を続けた群および非投与GK群と比較した。 結果 (1)投与6ヵ月後における食後血糖値は、非投与群に比し有意に低値を示した。(2)マルターゼ、スクラーゼ、イソマルターゼの活性は投与開始後6ヶ月に渡り有意に抑制された。(3)スクラーゼ-イソマルターゼ複合体のmRNAおよびタンパク発現量は、投与群において有意に高値を示した。(4)休薬後、マルターゼ、スクラーゼ、イソマルターゼ活性に対する抑制が見られなくなったが、再投与によって再び有意に抑制された。(5)同様にスクラーゼ-イソマルターゼ複合体のmRNAおよびタンパク発現量は、休薬によって高値を示さなくなった。 考察 ボグリボースは長期にわたって小腸におけるα-グルコシダーゼ活性を有意に抑制し、その結果有効な食後過血糖是正を得られる薬剤であることが明らかになった。またこの薬剤の抑制効果は可逆的なものであり、その安全性が確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N.Shihara, K.Yasuda, T.Moritani et al.: "Synergistic effect of polymorphisms of uncoupling protein 1 and beta3-adrenergicreceptor genes on autonomic nervous system activity"Int. J. Obesity. 25. 761-766 (2001)
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[Publications] K.Yasuda, A.Ishihara, T.Adachi, et al.: "Growth-related changes in skeletal muscle fiber type and insulin resistance in diabetic Otsuka Long-Evance Tokushima Fatty Rats"Acta Histochem. Cytochem. 34:5. 371-382 (2001)
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[Publications] K.Nunoi, K.Yasuda, T.Adachi, et al.: "Beneficial effect of T-1095, a selective inhibitor of renal Na-glucose cotransporters, on metabolic index and insulin secretion spontaneously diabetic GK rats"Clinical Experimental Pharmacology physiology. (in press).
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[Publications] K.Yasuda, K.Tsuda et al.: "Normalization of cytoplasmiccalciumresponse in pancreatiobeta-cell of spontaneously diabetic GK rat by the treatment with T-1095, a specific inhibitor of renal Na-glucose cotransporters"Horm Metab Res. (in press).
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[Publications] 日野原 重明, 井村裕夫監修: "看護のための最新医学講座 第7巻 代謝疾患・内分泌疾患"中山書店. 447 (2001)