2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい消化器癌治療を目指した異常p53のバックアップ機構の解明
Project/Area Number |
13670543
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
城 卓志 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30231369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 真 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40217774)
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Keywords | p53 / Chk2(hCds1) / 細胞周期チェックポイント / アポトーシス / DNA傷害 |
Research Abstract |
目的:消化器系癌を含む悪性腫瘍の多くは,癌抑制タンパクであるp53の機能が欠落している.また,Chk2 (hCds1)はp53タンパクの機能を制御することで,DNA傷害時にアポトーシスおよび細胞周期チェックポイントに機能していると考えられている.一方,申請者らは各種細胞株におけるp53機能とChk2発現の検討から,p53がChk2発現を負に制御していることを報告している.このことは,p53がChk2によって安定化されるメカニズムのnegative feedback機構とも考えられるため,Chk2の発現制御は,正常あるいは癌細胞を問わずDNA傷害時における細胞周期の調節機構およびアポトーシス誘導に極めて重要な意義をもつと考えられる.このため,申請者らは今回,p53によるChk2発現抑制の分子機構の解明を試みた. 方法:1)Tet-On System用いたp53誘導細胞株を用いてp53とChk2発現の関連性をNorthernとWestern解析で検討した.2)p53によるChk2の発現抑制に重要な領域を検討するため,Chk2プロモーター領域を変異させたレポーター遺伝子を作成し,p53のcis-elementを同定した.3)そのcis-elementに結合する転写因子を同定するため,Gel Shift Assayを行い,そのdominant negative mutant用いて確認した. 結果:1)Chk2の転写は,p53の発現を誘導すると著明に抑制された.2)p53によるChk2の転写制御には,Chk2プロモーター領域の-152〜-138にあるCCAAT boxが必要であった.3)Chk2のプロモーター領域に存在するCCAAT boxは転写因子NF-Yと結合し,さらにdominant negative mutant MF-Yによりp53によるChk2の負の転写制御は消失した. 結論:1.Chk2の転写はp53により抑制され,その転写制御には,転写因子NF-Yが重要な役割を有すると考えられた.2.このp53とChk2の相互の発現調節は,DNA傷害時に重要な意義を有するものと考えられた.
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