2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝炎におけるミトコンドリアDNAの傷害集積と肝発癌との関連性
Project/Area Number |
13670546
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西口 修平 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10192246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩見 進 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30170848)
田守 昭博 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30291595)
西川 学 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00347494)
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Keywords | 慢性肝炎 / 肝癌 / ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / 酸化ストレス |
Research Abstract |
現在、世界的にミトコンドリアDNA変異と発癌との関係が注目されているが未だその因果関係は明らかではない。申請者らは、炎症性発癌組織において極めて多くのミトコンドリアDNA変異が蓄積していることを世界で初めて発見した。さらに、正常組織であっても慢性炎症により本変異が経時的に蓄積し、ある閾値を越えると発癌することを突き止めた。これらのことに基づいて臨床検体を用いて解析した結果、慢性肝炎症例の肝組織において極めて多数のミトコンドリアDNA変異が蓄積していることを発見した。これまでの研究で、ウイルス肝炎からの肝発癌はインターフェロン投与により抑制できることが判明しているが、その分子機構は明らかではない。そこで、インターフェロン投与前後でミトコンドリアDNA変異を解析したところ、投与により変異が著明に減少することが判明した。また、肝発癌モデル動物であるLECラットでは、炎症に伴って肝ミトコンドリアDNA変異が蓄積し、肝ミトコンドリア機能障害および肝障害が引き起こされて発癌するが、ミトコンドリア保護剤であるカルニチンを経口投与することにより発癌を強く抑制できることが判明した。ミトコンドリア保護剤として用いたカルニチンは特定の食物に多く含まれており、生体内でも合成される自然界に広く存在する物質である。本物質の投与は極めて安全で、分子論にもその生体内効果は明らかである。本物質の臨床応用に期待したい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kubo S, Nishikawa M, Hirohashi K et al.: "Multicentric occurrence of hepatocellular carcinoma in patients with a somatic mutation of mitochondorial DNA and hepatitis C virus"Hepatol.Res.. 25. 78-82 (2003)
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[Publications] Chang B, Nishikawa M, Sato E et al.: "Mice lacking inducible nitric oxide synthase show strong resistance to anti-Fas antibody-induced fulminant hepatitis"Arch Biochem Biophys.. 411. 63-72 (2003)
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[Publications] Iguchi T, Nishikawa M, Chang B et al.: "Edaravone inhibits acute renal injury and cyst formation in cisplatin treated rat kidney"Free Rad.Res.. In press.
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[Publications] 西川 学, 井上正康: "ミトコンドリアとミトコンドリア病「発癌とミトコンドリア遺伝子」"日本臨床社. 804 (2002)