2002 Fiscal Year Annual Research Report
免疫反応調節臓器としての肝臓による経口寛容誘導機構の解析
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13670564
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 宏樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80256403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
銭谷 幹男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (70138767)
戸田 剛太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40090500)
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Keywords | 経口寛容誘導 / 肝内免疫環境 / 活性化リンパ球 / アポトーシス / IL-10・IL-12 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自己免疫性疾患の新たな治療法として注目されている経口免疫寛容(トレランス)誘導への肝臓の免疫反応調節臓器としての関与を、肝臓内の抗原提示細胞、免疫調節性細胞の動態と機能を検討することにより、分子、遺伝子レベルで明らかにすることである。 本年度は昨年度に引き続き経口寛容誘導モデルを用いて、経口寛容誘導時の肝内DC、類洞内皮細胞のサイトカイン・ケモカイン産生プロフィールをSerial Analysis of Gene Expression (SAGE)法により遺伝子レベルで解析した。その結果、経口寛容誘導時には非誘導時に比しDCのIL-10、IL-12遺伝子発現がともに増強する傾向が認められたが、ケモカイン遺伝子発現に関しては一定の差異を認めなかった。また、類洞内皮細胞のサイトカイン・ケモカイン遺伝子発現を定量的に評価することは技術的に困難であった。一方、経口寛容を誘導したマウスの肝臓に活性化T細胞を経門脈的に投与すると、それらのT細胞が肝内でアポトーシスに陥る現象が観察された。 以上より、経口寛容誘導時の肝内における特定のTh1、Th2偏向は認められず、ケモカインプロファイルに関しても有意差は認めないことから、肝臓の経口寛容誘導への関与はサイトカイン、ケモカインレベルでなく、活性化リンパ球の肝内におけるアポトーシスにより担われている可能性が示された。次年度では肝内における活性化リンパ球のアポトーシスによる除去のメカニズムについて解析を進める予定である。
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