2001 Fiscal Year Annual Research Report
胃病変におけるIL-1によるEGF様増殖因子とEGF受容体の発現調節に関する研究
Project/Area Number |
13670570
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
和田 謙 日本医科大学, 医学部, 助手 (30307954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 長逸 日本医科大学, 医学部, 教授 (30196092)
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Keywords | Interleukin-1β / TGF-α / EGF様増殖因子 / 胃炎 |
Research Abstract |
胃粘膜において炎症性サイトカインのひとつであるInterleukin(IL)-1βは、胃粘膜細胞の障害作用以外に、胃酸分泌抑制やprostaglandin産生などの胃粘膜保護作用も有している。私共は本研究で胃粘膜におけるEGF様増殖因子を介した新たなIL-1βの作用を検討し、以下の結果を得た。 1.MKN28ヒト胃癌上皮細胞株と培養ヒト胃線維芽細胞を用いてIL-1β刺激を行い定量的PCR法にてEGF様増殖因子のmRNA発現を検討した。IL-1β刺激MKN28細胞ではtransforming growth factor-α(TGF-α)、heparin-binding EGF-like growth factor(HB-EGF)、amphiregulin(AR)の発現増加が認められた。胃線維芽細胞ではTGF-α発現は認められず、AR発現は認められたがIL-1β刺激での変化は観察されなかった。一方、HB-EGF発現はIL-1β刺激によって増加が認められた。 2.各細胞の培養上清中のTGF-αをELISA法にて測定した。MKN28細胞ではPMA処理によってTGF-αの細胞外への放出が観察され、IL-1β刺激によってTGF-α分泌が亢進した。このTGF-α分泌はシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤であるNS398やCelecoxibでは阻害されなかった。一方、胃線維芽細胞ではTGF-α分泌は認められなかった。 3.IL-1β刺激胃線維芽細胞の培養上清をMKN28細胞に加えたところTGF-α放出の亢進が認められた。このことはIL-1β刺激胃線維芽細胞より分泌された何らかの液性因子がMKN28細胞のTGF-α放出を亢進させることを示唆していた。 以上のことから胃粘膜においてIL-1βが間葉-上皮細胞間の相互作用によってTGF-αなどの様々なEGF様増殖因子を介してその生理機能を果たす可能性を示唆していた。さらに現在私共は患者胃生検検体中のIL-1βとEGF様増殖因子を測定して両者の関係を検討予定である。
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Research Products
(1 results)