2002 Fiscal Year Annual Research Report
消化管運動調節に与るカハールの介在細胞の細胞組織学的研究
Project/Area Number |
13670572
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小室 輝昌 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20037386)
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Keywords | ICC / C-Kit / Gap junction / 平滑筋 / 胃 / 免疫染色 / 消化管 / 蠕動運動 |
Research Abstract |
消化管の広い領域に亘って分布し、蠕動運動のペースメーカーや神経から筋への刺激伝達機能をもつカハールの介在細胞(ICC)は、各部位に固有な収縮、弛緩運動に関与していることが想定され、その詳細な解析は消化管運動の包括的理解の上で必須の課題である。本年度の研究では、胃の各領域、組織層におけるICCの分布を明らかにすると共に、ICC各亜型の細胞学的特性を知るため、正常およびc-kitに突然変異のあるW/Wvマウスの胃を材料に用い、ICCの分布とgap junction蛋白(Cx43)の分布密度について、免疫組織学的に検索した。 その結果、正常マウス胃の噴門、胃底、胃体(重層扁平上皮部)の良く発達した輪走(CM)および縦走(LM)筋層には多くのICCが観察されたが、筋層間神経叢には認められなかった。筋層間神経叢(AP)のICCは胃体(腺上皮部)への移行部近傍より出現し始め、幽門部には非常に密度高く観察された。一方、gap junction蛋白Cx43は、噴門、胃底、胃体(重層扁平上皮部)、幽門部を通じて、輪層筋層に散在性に弱く観察されたが、胃体(腺上皮部)のICC-CMの少ない部位では、高い密度で観察された。 これらの観察より、マウス胃では、ペースメーカー機能をもつICC-APの出現する胃体(腺上皮部)が自律的蠕動運動の起始部にあたると推定された。また、噴門、胃底、胃体(重層扁平上皮部)、幽門部の輪走筋層の細胞間の電気的結合度は弱く、豊富なICCが神経信号の伝達に介在するものと推定された。 他方、W/Wvマウスでは、胃の全領域を通じてICC-CM, ICC-LMは欠損する傍ら、幽門部のICC-APは少数観察された。このことは、ICCの亜型によってc-kit/SCF系に対する依存性に相違のあることを示すものであり、今後の重要な課題と考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mitsui R., Komuro T.: "Direct and indirect innervation of smooth muscle cells of rat stomach, with special reference to the interstitial cells of Cajal"Cell and Tissue Res.. 309. 219-227 (2002)
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[Publications] Seki K., Komuro T.: "Distribution of interstitial cells of Cajal and gap junction protein, Cx43 in the stomach of wild-type and W/Wv mutant mice"Anat. Embryol.. 206. 57-65 (2002)