2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウス肝炎モデルにおける肝発現サイトカインLECT2の調節機構に関する研究
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13670581
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山越 智 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究官 (00212283)
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Keywords | LECT2 / サイトカイン / 肝炎 / Concanavalin A |
Research Abstract |
マウスCon A肝障害モデルは、ヒトの自己免疫性肝炎に似た症状を示すことが知られている。昨年までの本研究でBALB/c背景LECT2-KOマウスにおいてCon A肝炎の重篤化が見られ、報告されているCon A肝炎に関わるサイトカインの中で唯一、IL-4の産生上昇が観察された。今年度は、C57BL/6(B6)背景のマウスを用い詳細な解析をした。25mg/kg Con Aを投与5時間後に、野生型ではほとんど変化が認められなかったがLECT2-KOマウスではすでに肝障害の指標であるGPTの上昇が観察され、組織染色においても肝細胞のアポトーシスをはじめとする肝細胞の変性が観察された。肝臓でのIL-4は、LECT2-KOマウスにおいて処理後1時間という極めて初期に発現量の倍増が見られた。血中サイトカイン量においてもTNF-α,IFN-γ,IL-6,IL-10では差が見られなかったが、IL-4は処理後1時間で2倍の差が見られた。すでにIL-4がCon A肝炎発症に必須でありその産生細胞がNKT細胞であることが報告されていることから、フローサイトメトリーによりNKT細胞の割合を調べた。その結果、LECT2-KOマウスは野生型に比べて約2倍のCD3int NK1.1^+細胞(NKT細胞)を持つことがわかった。T細胞抗原受容体Vα14-Jα281の発現も2倍以上に増えていた。また、脾臓のmononuclear cells画分でも同様にNKT細胞の割合が高いことが判った。 以上のことから、Con A肝炎におけるLECT2-KOマウスでのIL-4の過剰産生は肝NKT細胞の増加が原因であり、それによりNKT細胞の過剰反応につながり肝障害が重篤化することが示唆された。また、このNKT細胞の増加が肝臓特異的で無いことより、LECT2がNKT細胞の発生分化、或いは生体内での恒常性維持の機能調節を抑制的に制御することが考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S, Yamagoe, et al.: "Interaction of histone acetylases and deacetylases in vivo"Mol Cell Biol.. 23(3). 1025-1033 (2003)
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[Publications] M, Ito, et al.: "Expression, oxidative refolding, and characterization of six-histidine-tagged recombinant human LECT2, a 16-kDa chemotactic protein with three disulfide bonds"Protein Expr Purif.. 27(2). 272-278 (2003)
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[Publications] N, Sakai, et al.: "Involvement of histone acetylation in ovarian steroid-induced deciduali-Zation of human endometrial stromal cells"J. Biol. Chem.. (in press).